Project Henchikurin Project Henchikrin BambooHouse" 竹林日誌2005,, BambooHouse Project Henchikurin Project Henchikurin

東京西多摩、秋川の清流を見下ろす崖上
築二百年の農家を舞台に展開する真木テキスタイルスタジオのお話。

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11月25日(金) 「ウールの奥行き展」あるいは「さらば青山」

 十二月も間近の青山。
 今日から「ウールの奥行き展」。
 朝から途切れることなくお客さんの来訪を頂き、ありがたいことである。

 展示会にあわせて少々趣向を変えた店内を見回すにつけ、感慨もまたひとしお。
 もうお聞き及びの向きもあろうが、このMaki青山店、もうじき店じまいの仕儀と相成る。

 じつはこのたび、ビルのオーナーが替わったのだ。
 それに伴い、テナントに総退去のお達しが。
 あはれ店子(たなこ)には、なすすべもなし…。

 今日も、来訪のお客さん、口々に惜しんでくれる。
 ま、惜しまれるウチが華であろう。
 具体的な閉店日については、また追ってお伝えしよう。
 いずれにせよ、そう遠い先の話ではない。
 なくなる前にせいぜい来て頂けたらと思う。

 来週火曜にインドへ向かう真木千秋と私ぱるば。
 どんなふうに店を閉じようか、今、思案の最中。

写真は本日撮影の店内の様子


11月24日(木) 南国の色
 沖縄・西表島で開かれた「島人文化祭」に三人で参加する。(真木千秋・大村恭子・太田綾)。
 空いた時間を見ながら、西表の草木で糸も染める。
 左はフクギで染めた黄色。
 右側は紅露(くうる)染め。
 糸はどちらも「赤城の節糸」。(手引きの絹糸)
 
 芭蕉の糸取りを体験させてもらう。
 手前の嬉しそうな男児は、やはり五日市から参加の服部クン。
 座繰りを指導する真木千秋。
 これはかつて上州で習ってきた技だ。
 器具類も上州製。
 天候はあいにくだったが、若者達は海でフィーバー。

11月11日(金) 竹林秋色
 インド行きを月末に控えた真木千秋。
 竹の家で布づくりの準備だ。
 今日はログウッドで糸染め。

 ログウッドというのは、南方由来のマメ科の木だ。
 残念ながらこの辺では生えない。
 心材を使って、ごらんの通りの紫色が出る。

 色々なシルクを染めたが、これは赤城の本糸(ほんし)と呼ばれるもの。
 手引きの「座繰り糸」の中でも最高級とされ、タテ糸にも使える糸だ。
 これが今回インドに渡り、ストールに織り込まれることになる。
 作業の合間に、かわるがわる縁側で吊し柿づくり。
 ぱるばの実家から運んできた渋柿だ。
 その数ぜんぶで197個。
 軒下に吊すと、すだれのようだ。
 見た目はゆかしいが、ひとつ50gほどあるから、かなりの重量になる。

 上手にできあがったら、来春のオープンハウスで振る舞う予定。
 (それまで残ってたらの話だが)
 衣食住トータルに面倒見るMaki Textileである。

 屋根や庭先にケヤキの落ち葉の積もる、「竹林」の秋。

 たまには私も出演しようということで、今日12日。
 大木の切れ端と格闘しているところ。
 最大径60cmもある大物だ。
 いつになく真剣な表情である。

 じつはコレも、来年のオープンハウス向け。
 テーブルにしようという魂胆だ。
 小さなチェーンソーには少々荷が重い。
 紫煙がもうもうと立っている。
 秋の日も暮れ、ライトの中で記念撮影。
 野外食卓セットだ。
 テーブルが杉で、ベンチは主にヒノキ。

 これ、材料費はタダ。
 ぜんぶ昨日、近所の材木屋からもらってきたものだ。
 布にしろ、木材にしろ、切れ端は有効に活用すべし。

10月31日(月) 天台烏薬
 「てんだいうやく」と読む。
 名前からもうかがえるように、漢方の薬木らしい。
 和歌山県の熊野にあるギャラリーから、その実が送られてきた。
 Makiさんにぜひ染めてもらいたいという。
 ウチは染屋ではないのだが、熱意にほだされ、やってみることにする。
 実で紫系の色が出るという。
 そこで、発色の一番きれいな、Maki特製・手引き春繭糸を染めることに。
 媒染は、ミョウバン、石灰、灰汁を使ってみる。

 結果、ミョウバン(アルミ)がいちばん紫っぽかったかも。
 しかし、紫といっても、写真のごとく、紫味のグレーという程度であった。
 バラ科の鉄媒染でよく目にするような色合いだ。
 堅牢度などは不明。

 ともあれ、秋も深まり、野外の焚き火も楽しい季節となってきた。


10月11日(火) なんとなくトロピカル

真木千秋、二週間にわたるシンガポール+インドの旅を終え、昨日帰国。

雑記帳にも書いたが、シンガポールでは小さな展示会を催す。
その写真を持ち帰ってきたので、ちょっとご披露しよう。
展示会場となった、ちょっとコロニアルな屋敷。
プールつきの豪勢な個人宅であった。
内部の様子。
リビングの吹き抜けの天井から布が舞う。
竹を使って布を吊すなど想像外であったようで、家族の皆さんも楽しんでいた模様。
庭にあるノニの木。
ハワイにもいっぱいあって、最近は日本でも「ノニジュース」で注目を集めている。
日本では「ヤエヤマアオキ」として沖縄八重山諸島にわずかに自生。根から赤系の色を出す貴重な染色植物だ。
地元、染織研究グループの会長さん。
苧麻糸づくりに興味津々。