絲絲雑記帳

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0/「建設篇」


 

8月18日(金) 南インドより

 昨8月17日はかなりの離れワザであった。
 私ぱるばは16日夜に北京を発ち、17日早朝(っていうか丑三つ時)にデリー到着。
 そのままデリー国内線空港に移動して、Makiスタッフの松浦菜穂と合流。(彼女も前日夕方、成田よりデリーに到着)
 そして共に、南インド、ヴィシャカパトナム空港に飛んだのであった。

 この空港は、ポンドルへ行く基地となる。
 ポンドルは「究極のカディ」産地として知られており、私ぱるばも四年前に訪れている。詳しくはこちらを参照

 南インドは一年ぶりの訪問だ。
 インドは広い。北にあるganga工房からは遥か遠方である。
 ただ南インドは良質の木綿生地の産地なので、私も幸いにして訪れる機会がある。

 南インドは何が良いかと言って、まず、メシがウマい。
 私も若い時分から世界いろいろ回っているが、現時点でトップだと思われるのが、この南インド料理なのではないか。

 左上写真は昨日の昼食。
 ポンドル近くの街スリカクラムの定食屋だ。タクシーの運転手に連れていってもらった。
 地元の人々でいっぱいの、一見すると薄汚れた感じの飯屋である。こういうところがウマいのだ。
 入口でカネを払って着座すると、すぐに定食プレートが配膳される。5〜6品の料理と、ヨーグルトおよび甘味、そして、せんべいと米飯のセット。これを手で食う。私のうれしそうな顔を見よ! 期待にたがわぬ超絶美味であった。これが動物性材料を一切使わない菜食なのだから驚く。飯も料理もお代わり自由だ。まあ、毎日こんなのを食ってたら目方が増えるだろうが。

 それから南インドはコーヒーも魅力だ。インドと言えばチャイだけども、ここ南インドではコーヒーのほうが一般的。インドは世界で第8位のコーヒー生産国であるが、その豆は南インドで生産される。
 その南インドコーヒーは、飯屋や街角で手軽に飲める。深煎り濃い目のミルクコーヒーだ。これも超絶美味!! (左中写真)

 飲み食いばかりではない。
 ちゃんと仕事もしているのだ。というか、そもそも、木綿生地仕入れのために来たのである。
 友人に南インドのテキスタイルデザイナーがいて、彼女にいろいろ手配してもらったのだ。

 左下写真はポンドル近郊の布屋。
 私の手にしているのは、80カウントという極細糸を使った木綿カディ。色は生成だ。
 まず50cmほど購入して、糊を落とし、乾かして風合いをチェック。ganga工房に滞在している真木千秋や大村恭子と連絡を取りながら検討する。
 常夏の南インドカディなので、今までにないほどに薄手だ。涼しくて肌に心地良い。ただご覧の通り、そのままでは下が透ける。
 使い方を工夫すれば、来年のカディコレクションに彩りが加わるだろう。
 そのほかにも、やや厚手の色物カディや、デュパタ(薄手の木綿ストール)も入手する。

 ただ、魚のアゴを使って紡ぐ「究極のカディ」は、今回は見送ることにする。値段との兼ね合いで、ちょっと皆さんにはご紹介しかねるかな…という感じだ。
 どうしても欲しいというコレクターな人は、入手場所を教えるから自分で来てもらうほかあるまい。(2014年のカディ展で買った人はラッキー!)
 






 

8月6日(日) ねじまき雲の夏休み

 ティモケのランチが終わり、私ぱるばの紙芝居も無い、8月の竹林。
 その静寂の中で、ひとり黙々と珈琲を淹れるねじまき雲・長沼氏。

 自家焙煎珈琲店のねじ氏は、竹林出張カフェの折には毎回、その時々にふさわしいブレンドを創作して持参する。
 今回は「Kasumi Blend」。(下写真)

 このKasumi、弊スタジオのストール「霞空羽(かすみあきは)」にちなんでいる。
 今インドのganga工房は雨季のまっただ中だが、この霞空羽は雨季を待って織り始める。タテ糸が混んでいるので、織成には適当な湿度が必要なのだ。
 Kasumi Blendが霞空羽の味わいなのか定かではないが、その特長は、インドの豆を50%使用していることだ。
 インド豆というとあまり馴染みもあるまいが、インドは世界第8のコーヒー生産国なのだ。南インドではチャイよりもコーヒーが好まれるというコーヒー消費国でもある。私ぱるばも平生インドコーヒーを愛飲しているが、特有の風味があってウマいものだ。

 今回のKasumi Blendは、インド豆の特長をペルー豆で受け、マンデリンで磨きをかけている。
 ブレンドとラテ(それぞれホットとアイス)、それにスパイスラテ(ホット)の、計5種類。いずれも8月の竹林でしか飲めないスペシャルな味わいだ。スパイスラテというのは、ラテにスパイスと砂糖を加えたもの。
 それから私ぱるばの特注品であるアイスパ(アイスのスパイスラテ)。無糖のラテにスパイスを加え、アイス仕立てにしたもの。これがめっちゃウマいのである。メニューにはないが、頼めば作ってくれるはず。

 ねじ氏に「夏休みはあるの」と聞くと、今回のイベントが夏休みなんだそうだ。そういえば何となくリラックスしているねじ氏である。
 国分寺の「ねじまき雲」へ行くと、私語も許されざるがごときストイックな雰囲気に満ちているのであるが、こちらは半分インドな何でもアリの竹林だ。「変態珈琲屋」ねじ氏の知られざる一面に触れられるかも。
 「8月の竹林」もあと四日間。明日からは平日でもあるし、台風も来るの来ないの言ってるし、ねじ氏も夏休みだとか言いつつ毎日しっかり定時(正午)にオープンしているから、せいぜい叱咤激励に来ていただきたい。
 






 

8月1日(火) ティモケの竹林ランチ

 一昨日お伝えした、ティモケこと北村朋子。
 本8月1日、竹林カフェにデビューを果たす。
 「ラケッシュの領域に畏れ多い」とは本人の弁であったが、なかなか堂に入っている。(左上写真。なんとなくフェルメール)
 ここ一年余り、下にある井戸端でサモサを供していたティモケ。「カフェの居心地はどう?」と聞くと、「カーストが上がったみたい」と変にインド的な答えであった。

 さて、肝腎のランチであるが、左下写真の如くである。
 中央の富士山(いや須弥山!?)は、インド米「バスマティ」と日本米のブレンド。天辺にはインドピクルスが。
 その周りを八種類の惣菜が取り巻く。(右写真参照)。
 ランチのタイトルは「盛夏のタリー・プレート」。タリーとはインドの定食だ。
 実際に食した感想は、インド的「幕の内弁当」かな。インド料理というより、野菜やスパイス類など素材を活かしたティモケのクリエーションだ。
 かなりイケると思う。ラケッシュやばいかも!? (って、比較するものでもないが)

 今回は残念ながら、あと二日間、明日と明後日だけ。数量限定なので、食べたい人は早めに来てもらうといいかも。
 食いそびれた人にはティモケ得意のサモサもあるのでご心配なく。(これもあと二日のみだが)
 






 

7月30日(日) キッチン・ティモケ

 明後日、8月1日から始まる竹林8月のお楽しみ。
 その冒頭三日間を彩るのが、キッチン・ティモケだ。
 このティモケというのは、北村朋子さんのこと。きっとトモコが訛ってティモケになったのであろう。

 つとにサモサワラ・ティモケで当スタジオ界隈では著名なのであるが、ティモケの手業はサモサだけではない。
 野菜とスパイスをベースにした料理をいろいろ作っている。
 (上写真は昨年12月、インドganga工房のキッチンでサモサを作るティモケ photo by Macchi)

 そこでこのたびは、竹林カフェにて、ティモケのランチプレートの登場。
 各地で引く手あまたのキッチン・ティモケゆえ、初日から三日間のみ。
 下写真はその一例。過去のティモケ作品であるが、カラフルな料理の取り合わせが食欲をそそる。
 明後日からの竹林カフェではどんなプレートになるか、まことに楽しみなことだ。(サイドメニューでサモサもあり)

 今回のランチに寄せるティモケの想いは、ティモケブログを参照のこと。




 

7月24日(月) 一淹成仏

 青梅のベーカリー nocoに赴く。
 「ねじまき雲・出張珈琲」が催されていたのだ。
 青梅市郊外の山際にある気持ちの良いスペース。
 通常は東京・国分寺で珈琲を淹れる長沼氏であるが、年に一遍ここnocoに出張するのだという。今日は氏に加え、加藤けんぴ店も同時出店という贅沢な趣向であった。

 注文に応じて珈琲を淹れる長沼氏(写真左)。
 その周囲はいっとき異次元の静寂に包まれる。
 注がれる一筋の熱湯に盛り上がる珈琲は、まるで釈迦が螺髪(らほつ)のよう。
 その様子はまさに、一音成仏(いちおんじょうぶつ)ならぬ一淹成仏(いちえんじょうぶつ)。
 さてその珈琲の味わいやいかに…!?
 
 いうまでもなく、nocoのパンとの相性は良好。年に1回といわず、毎月やってほしいものだ。(特にその機会にのみ焼成されるという天然酵母パンは風味絶佳)

 この長沼氏、一週間後の8月1日(火)から十日間、東京五日市の弊スタジオで出張珈琲である。(竹林8月のお楽しみ)
 武蔵国分寺に行かずとも、居ながらにして氏の一淹に与れるとは祝着至極。
 皆さんも盛夏のひととき、竹林で一緒に成仏いたそう。


 

7月15日(土) 春繭の糸繰り

 昨14日から春繭の糸繰りが始まる。
 先月末に八王子の長田養蚕からやってきた繭だ。今までしっかり塩蔵されていたので、状態は良い。

 糸繰りのやり方は、十数年前に真木千秋が上州群馬で習ってきたものだ。
 まずは煮出し。
 この手順がかなり複雑だ。
 温度の違う熱湯を二種類準備し、何度か煮沸したり漬けたりして、繭を解舒する。解舒(かいじょ)とは、糸が引けるように繭を煮てゆるめること。
 毎年やっていることだが、手順があまりに複雑なため、毎回メモと首っ引きである。
 解舒した繭は、「もろこしぼうき」で生皮苧(きびそ — 繭の外側部分)を引っかけ、持ち上げ、ズルズルと引っ張り出して、糸口を探る。(左上写真)
 生皮苧の部分は太いのだが、やがてスーッと一本の繊維となる。それが糸口だ。

 糸口が出そろったら、座繰りの作業だ。
 温湯の中に浮かべた繭80粒くらいを、もろこしぼうきでゆっくりあやつりながら、左手で座繰り機の把手を回す。(左中写真)
 ひとつの繭の繊維長は千四百メートル前後だが、繰るにつれてだんだん細くなるので、糸の太さを維持するため、適宜、繭を追加する。
 太い糸が欲しい時は繭の数を増やし、細い糸だったら数を減らす。繭の出来によって繊度(太さ)も違う。今年の繭は出来が良いようで、繊度も大き目だ。

 座繰り機でカセに巻き取った後、乾かないうちにカセ上げし、糸カセにする。
 そうすることで、絹糸のナチュラルなウェーブが保存されるのだ。

 昨日は五人がかりで、15カセほどの絹糸が繰られた。
 澄んだ春繭糸だ。(左下写真)

 ところで、先ほど来、話に現れる「もろこしぼうき」。これは繭の糸繰りには必須の道具である。
 もろこしとは、タカキビ、あるいはソルガム、中国語ではコウリャン(高粱)だ。

 繭の煮出しと並行して、もろこしぼうきの作製も行う。(右写真)
 じつはこのもろこし、私ぱるばが12年前に栽培したものだ。30本穫れたので、まだ残っているというわけ。
 もろこしの種を除去すると、そのまま小さなほうきになる。これが糸繰りに便利なのだ。
 ただ、種の除去が少々面倒である。よって、8月1日からの竹林セールにお越しのお客さんの中で、やりたい人がいたらやらせてあげることに決定! なかなかできない体験だからね。
 除去したもろこしの種は進呈! ま、12年経ってるからね、発芽するか(あるいは食えるか)は不明。(つぶつぶの郷田氏に聞いてみるといいかも)




 

7月13日(木) 発掘

 北インドは雨季に突入した模様。気温は今の東京と同じくらいまで下がって割合しのぎやすいが、雨風がすごい。日本の梅雨とは違って、短時間に土砂降りだ。
 おかげで、できたての工房は、雨漏りがしたり、停電になったり。
 昨日日本を発ったラケッシュ君には、しっかり工房管理をしてもらわねば。

 真木千秋は先週末、インドから帰国する。
 やっと日本時間に慣れてきたところ。
 そして今日は、竹林スタジオで発掘作業に勤しんでいる。
 というのも、8月1日から十日間「竹林8月のお楽しみ」というイベントがあるからだ。
 基本的に夏のセールなのだが、その中に、スタジオの発掘品コーナーが設けられる。

 今回の発掘場所は、母屋の奥座敷。
 いろいろ出てくる — 世界のあちこちで手に入れた絲絲、布布…
 すべて布作りの素材や参考品として求めたものだ。
 しかしウチで保持するより皆さんに使ってもらった方がいい…。そういうものが「8月の竹林」に並ぶのである。

 たとえば、左写真いちばん手前、ベージュ色の糸カセ。これは私ぱるばが五年前の秋、タイの東北部で購入したエリ蚕手挽き糸だ。これはかなりの珍品である。というのも、エリ蚕は通常、真綿にして紡がれる。ところが、タイ東北部では、桑蚕みたいに繭からの繰糸が試みられていたのだ。ただ、当スタジオでは使う機会がなく、この8月に登場となった次第。
 そのほか、中国の手織麻布や、男性用XL木綿シャツなど、いろんなものが発掘される。
 請うご期待!
 


 

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