インドに行き、織り物をつくりはじめて30年……自分でも驚きながら、30年というこの機会に何か特別に記念になるようなものをと色々考えました。
やはり手に取ったのは、Ganga Maki工房で毎日の仕事になっている繭から手でずり出す絹糸 — これをストールにしたものが一番!
ずり出し糸の特徴は、蚕が繭を作る速度に一番近いゆっくりした糸作りなので、素材が一番自然に近い形で生きていることでしょう。
テクスチャーがあり、空気を含み、暖かく、ふっくらとしていいます。使えば使うほど真綿のように柔らかい風合いになります。この手法は沖縄八重山の石垣昭子さんから習い、インドのGanga Maki工房で作れるようになりました。
今年の春にはミラノ、秋には日本で初めてテキスタイルアートとして展示をした作品づくりにもずり出しの糸をたくさん使いました。
そのずり出し糸を「折り返し織り」の手法を用いて、この記念ストールを織っています。この手法は今までずっと真木テキスタイルスタジオで紹介してきましたが、今回は初めて中央で折り返しています。
また30年にちなんで30個のチクチククッション。ひとつとして同じものはありません。
その他秋のヒマラヤウールやリバイバルのウールシルクの暖かなショールや腰巻なども特別にたくさん並びます。
みなさんに使っていただき、続けてきた織物づくり。そしてこれからも、続けられる織物づくり。
職人たちとともに心から感謝しています。
どうぞお誘い合わせの上あきる野にお越しください。
ー 真木千秋
始まりは霧の中ですが、1989年には、デリーの工房で布を織り、伊勢神宮近くの茅屋で仕上作業をしていました。
翌年、東京五日市に移り、世紀末の1999年、江戸時代の古民家をスタジオに改造し、今に至ります。
夢か現か知らぬ間に星霜を重ね、行方も知れぬ旅路を歩む。その30年に渉る軌跡を辿ります。
田中ぱるば 母屋一階 13:30–(11/2,3は13:00–)