繭からの手引き「ズリ出し」の糸づくり、今ではganga maki工房の日課になりました。始めは太細ゴツゴツいろいろでしたが、それぞれの糸の表情が面白くて、一枚ずつ違う織物を作ることができました。ちょうど今ミラノのASSAB ONE galleryに展示されています。最近は細くて風合いの柔らかな糸も作れるようになりました。染めてみると陰影がありとても美しい糸になり、少しづつストールや服地などにも織り込み始めています。今回の「布のいのち」展でもご覧いただけます。
毎日繭を煮て糸づくりをしていると愛着もひとしお。織りの際の残り糸や、服づくりのハギレもなかなか捨てられません。大き目のハギレは接ぎ合せて新たな布に、小さなハギレは裂いて緯糸として織り込み、もっともっと小さなハギレは縒り合わせて紐にして丸い敷布や坐蒲など作ってみました。どんなに短くても小さくても、あの時このときの糸や織り布。最後の最後まで作って、クタクタになって土になるまで使いたい⋯そして使っていただければ、と願っています。どうぞ一期一会の布に会いに触りにいらしてください。
ー 真木千秋