インド通信

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真木千秋と香は、この冬(1996〜1997)、約一月半にわたって、インドで布づくりに励み、

そしてちょっぴり休暇を楽しみました。

ここにその一部をご紹介しましょう。



12月24日



インドに着いて三日目になります。

これがけっこう寒いのです。私(ぱるば)なぞ、今ももひき(スパッツ)をひっぱり出してはいたほどです。数日前には、最低気温が摂氏2.6度まで下がったそうです。

今ニューデリーにいます。パートナーであるニルー・クマールの家の近くにあるゲストハウス(シンプルなホテル)に寝泊まりしています。日本と時差が3時間半あるので、最初のうちは朝早くから目が覚めて困ります。(ことにニューデリーはインドでも西部にあるので、夜明けが日本よりも遅いのです)。でもおかげで早起きの爽快感があります。

ひと仕事終えて9時過ぎにはニルーの家へ向かいます。歩いて5分ほどのところにあります。インドは今、乾期なので、毎日空が晴れ渡って、冷涼な空気のもと、外を歩くのもたいへん気持ちいいものです。(ちょっとホコリっぽいけどね)

ニルーの家でいっしょに朝食をとります。朝だけはパン食です。食卓にはフレッシュなミルクと、バナナ、グワバ、チクー、ザクロといった果物が並びます。(昼と夜はもちろんインド料理です)。

それからミルク・ティーなんぞを飲みながら、のんびり仕事の打ち合わせをします。

今日は機場に出かけます。織師たちに会うのは久しぶりです。みんな元気にしているでしょうか……。




12月30日

暮れもだいぶ押し迫ったようですが、こちらではほとんど他人事です。というのもヒンドゥー教徒にとってもイスラム教徒にとっても、太陽暦の1月1日というのは、別に何ということもない普通の日だからです。だから休日でもありません。

この数日間、編者(田中ぱるば)は風邪でダウンしていて、やっと今日現場に復帰いたしました。(といっても、現場に来たからといって、別にすることもないのですが)

その間もmaki 姉妹は、糸染め、タテ糸かけ、服づくりと、相変わらず仲良くケンカしながらやっています。
今、染場の隅っこに座ってこれを書いています。

今日は染めの日です。当スタジオは、絹糸を染めるときには、だいたい草木染でやります。
今日はメンディという木の葉っぱを使って染めています。濃いベージュとグレーが出るようです。

さきほど撮影した写真を添えます。四日前にインド藍で染めた絹紡糸です。

12/30 2:00pm New Dehli, INDIA


アーメダバード国際しぼり会議 (1/2-1/4)

 

 新春、1月2日から4日まで、インド繊維産業の一大中心地アーメダバードで、第二回国際しぼり会議が開かれました。
 当スタジオからも、真木千秋、真木香、田中ぱるばの三人、および当スタジオのパートナーであるニルー・クマールが参加、
 それぞれに実り豊かな会議となったようです。

 左写真はアーメダバードのホテルの前で。
 世界中のテキスタイル関係者が集まるというので、ちょっとおめかししています。
 気候は日本の五月くらい。すっきり爽やかな気候です。
 真木香はこんなふうに微笑んでいますが、じつはこの前日にパスポートを紛失しているのです。

 会場となったのは、ニルーの母校である、国立造形大学。インド唯一のデザイン系大学です。
 講堂でシンポジウムがおこなわれました。
パネリストは左端が新井淳一さん。ひとりおいてアシャ・サラバイ。
 日本からも数十人の人々がツアーを組んで参加しました。


 また学内には、世界中のさまざまなしぼりの作品が展示されました。
その中のアシャの部屋。
 絹を使った作品を前にして、左から真木香、ニルー・クマール、真木千秋。





休暇の最終日・・・(1/4)

デュピオンシルク(玉繭)xマルダシルク(黄繭)xタッサーシルク

インド藍とザクロでターコイズブルーを染めてみました。八重山の海の底をのぞいた時の色のよう……と本人は喜んでいます。

苧麻x手紡ぎタッサーシルクxデュピオンシルク(玉繭)xマルダシルク(黄繭)

 ホテルの前に生えているバニヤン(ガジュマル)の巨木。
 枝からヒゲのような気根をいくつも垂らす、南方独特の木。
 子供たちはよくそれにぶらさがって遊んでいますが、これは別にターザンのためにあるわけではありません。
 それが地に達すると、そこから根っこが生え、だんだん太くなり、しまいには立派な木になるのです。
 その気根の先っぽに布を結わえつけると、ほのかな春風にユラリ、ユラリ……。

 やっぱり人間、ゆっくりと休んでみるのもいいことですね――と、ふやけかけている真木千秋。気持ちのいい朝のひとときに撮影。

 



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