stole & stoles !!

ストール展

2004年5月14日 (金) 〜 5月27日(木) 11:00-19:00

   
Maki Textile Studio, Aoyama, Tokyo




ここ十数年、インドの工房でストールをつくり続けてきました。
その間、いろんな糸素材や織師たちと出会い、その出会いの中から様々なストールが生まれてきました。
Dupion 1996

初めてデュピオン(玉糸)を使う。
今のデュピオンよりゴツゴツしていて、いかにも自然からいただいたという感じ。
タッサーや黄繭とあわせて織り上げてみると、とても力強い。
私も長いあいだ愛用。
Fuku Fuku 2002

絹とウールの無撚糸を使用。
無撚糸には、水溶性の糸がからんでいる。
織ったあとに湯に通して溶かすと、ふっくらふくらむ。

一回一回の滞在、そのときそのときに、精魂込めてつくります。
あたりを見回すと、インドならではの、魅力的だけれども、個性の強い糸々…。
「こんなのとってもタテ糸には使えない」と思いつつ、でもどうしてもやってみたい!
Malda 1998

赤系(インド茜)、緑系(ザクロ×藍)、黒系(チャップ)。
野生の繭・タッサーを楽しめる織物。
最初からしなやかなので、初めての人にも向いている。
昨年まで定番でつくる。
Fuwa Fuwa 2000

ウールと生絹の遊び。
ウールもまた変化を楽しめる素材。
いろいろ種類があるが、ここでは縮絨しやすいものを使う。
手法はご想像にお任せするが、シルクとウール両方の「よろけ」を楽しめる。

それで試してみるのですが、やはり上手くいきません。
でも諦めずに、次回のインド滞在で、いろいろ工夫を凝らします。
やり方を変えたり、織師を変えたり、機を変えたり。
そうしてやっと織り上がる!
ところが、その次からはもうできなくなったり…。
Kusa 2002

二重構造の織り。
裏側にナーシ糸を使い、糸を飛ばして織る。
その後に水通しすると、ナーシ糸が縮んで表側が立体的に。
でも軽くてしなやか。
写真は初期の茶系だが、今回新たにブルー系と赤紫系がお目見え。
Shady 1994

当時の私たちにとって「センセーショナル」な織物。
タテに天然色ウールと黄繭を使い、ヨコにタッサーギッチャ糸などを使う。
こっくりした色の中に、ギッチャ糸の柄が見え隠れする。
4〜5年間、織り続ける。

たとえば、デュピオンという糸。
日本で言う玉糸で、玉繭から採れる個性的な糸です。
太さが不均一なので、しばらくヨコ糸に使っていました。
それをある時、タテ糸に使ってみたくなって、織師シャザッドをなだめすかしながら織り上げたのが、Ayaという一作です。
Namaba Akiha 1999

たくさんの種類の絹糸を使う。
インドネシアのアタカス(ヨナグニサン)とか、赤城の節糸とか。
その一部を藍の生葉で先染めし、空羽の技法で織る。
Aya 1999

タテにデュピオン(玉糸)を使う。
タテ糸を楽しむため、綾織と平織を採用。
インドの玉糸はかなり不均一なので、タテ糸として使うのが実に大変。
黄繭糸を引きそろえて織る。
赤(茜)、青(藍)、茶(ハラッド、ザクロ)の三色。

タッサー繭の柄から採れる「ナーシ」という糸の場合も同様です。
試行錯誤の末、ナーシ糸を全面的にタテに使い、nasi-nasiというストールを織り上げました。
こうした思い入れの強い作品は、自分でも手放すに忍びなく、手許に1枚、2枚と留めてあります。
Nasi-nasi 2001

手紡ぎナーシの細糸をタテに。
これは至難の業。
織師が何人も変わって、最後にサリームが織り上げる。
技術はもちろんだが、気が長くないとできない。
そのサリームも故郷アッサムに戻って久しい。
極細のマルダ絹糸を藍染して引き揃える。
Kaze no nuno 1999

いろんな白い絹を合わせて織り、
その中にスーッと藍の生葉で染めた糸が織り込まれる。
風の通り抜けるようなストール。
Cuba Mokkurino 2002

韓国柞蚕糸をタッサーとともに織り込む。
より金属的な輝き。

そんな「秘蔵」のストールも、今では五十種以上になります。
このまましまっておいても仕方ないか…。
ということで、思い切って手放すことにしました。
様々な新作とともに一堂に展示して、自分の布づくりの軌跡を振り返ってみたいと思います。
Mizu Hanada 2000

縮み方の違う様々な生絹や苧麻糸を使い、独特の風合いを出す。
藍の先染め。
金糸のような輝きは、天然色のムガシルク。
Tamba 2003

昨年秋の新作。
最近、昔風の格子に凝っている


 なお5月15日(土)・午後二時より、沼田みよりさんを福岡からお招きして、「布のつかいかた」を披露してもらいます。
 布づかいについては私たちもインドなどでいろいろ学んできましたが、沼田さんの感覚にはびっくりするものがあります。
 みなさんのご来場をお待ちしています。

真木千秋

PS.〈ストール展・余話〉もご覧下さい


 

真木テキスタイル青山店 今までの展示会


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