12月21日(月) 渡印の準備

 師走も半ばを過ぎ、各地から大雪の便りの届く今日この頃。
 ここ関東地方、ことに東京は連日ひたぶるに良い天気。
 寒いんだけど、凜とした空気が気持ち良い。
 そんな中、真木千秋始め三名が明日からインドに渡る。
 今、その準備の最終段階だ。
 以下、真木千秋から渡印前のご挨拶;

ついに霜が降りた竹の家。すっかり冬型の良いお天気の日々。
寒いけれど空気が良くて、山もきれいで、この時期にインドに行くのは淋しいような気がするときもあります。
午前中によく日が差すので、インド行きの荷物の準備。

黄色は竹の家で染めた糸。今年はよくフクギで染めました。
竹の家でも良く染まって感動しました。もちろん西表でも。
黄緑は、この夏の藍の生葉染めにフクギを重ねて染めたもの。
ピンクは紅花です。
糸はいずれも赤城の座繰り糸

これらをスーツケースに詰め込んでインドに行ってまいります!
特に奇抜なものはつくれないと思いますが、
心がちょっとうきうきするような、
それか、すこ〜し落ち着くような?
...............
そんなストールや布がつくれたらと思います。

2010年もどうぞよろしくおつきあいください。
1月2月はだいたいインドにて、織物作りをしています。

真木千秋より



 11月27日(金) 明日から青山展

 明日から秋の青山展。(11/28〜12/3)
 西表から帰還したばかりの真木千秋以下4名のスタッフが、朝から展示作業に勤しんでいる。
 以下は真木千秋から伝言;

飾りつけ、たけなわです。
外は寒いけど、お天気で、会場のすりガラスから明るく温かい光が入って、作業も快適です。
秋冬の展示会なので、ナーシ絹×ウールの布などで作った服やストールなど、温かい雰囲気です。
インドからついこのあいだ届いたものも。
「あめつち」のモコモコの布を長細いクッションに仕立てたり、反物も沢山そろえました。
みんなでチクチク縫った小さな敷き布や、小物なども間に合いました。
お茶やお菓子(ラケッシュ手製)を用意してお待ちしています。

 ※明28日は真木千秋在廊。29〜12/3は田中ぱるば在廊。



入口のウィンドウディスプレイ。
ヒマラヤの木製バターポットにバラの実。
その下にはナーシ絹の細幅布。

 

入って正面には、小部屋のような空間。
厚手のナーシ絹地を敷物のようにして、その上に様々な形や材質のクッション。
靴を脱いでくつろいでいただいてもOK。




 



ストール■stole
かすみ空羽(あきは) パープルグレー


服■garment
コート二重エリ
ウール×ナーシ絹 二重織り
 




 

 11月24日(火) 芭蕉畑にて

 昨日に続いて、真木千秋の西表便り。
 じつは来年春、竹林で石垣昭子さんを招いての催しが企画されている。
 それもあって最近足繁く南へ通う真木千秋。
 スタジオの雑事から解放されて、大いに羽を伸ばしている様子である。
 

今日は朝から曇りときどき雨。11月末の西表らしいお天気です。
昭子さんの紅露工房では、地元の人の為のフクギ染めのワークショップが行われていました。
私は外で火をなんとか起こして、フクギを煮出しました。
生のフクギはやはり西表でしか染められないので、昭子さんの糸と一緒に糸染めしました。

その後、お天気次第で芭蕉の畑に入ってみようということになっていました。でも空模様はなかなか好天しません。
夕方になり雨もひどくなる中、やっぱり行ってみることに。
カッパに長靴、ほおかむり、軍手に鎌、というイデタチで畑に入り、芭蕉の下葉などを整理する作業を習いました。
芭蕉畑の中は葉っぱが屋根になって、風も雨もあまり当たらず、作業していると汗をかくほどでした。
この時期も青々と葉を繁らす芭蕉の生命力、みずみずしさに感動。
そして、ここまで大切に育てる昭子さん金星さんの長年の積み重ねに、頭が下がるばかりです。

芭蕉々々と言うけれど、この植物を育てて糸にして織りあげることの大変さ。長い長い工程…年月…
沖縄の先人たちはこんなに大変なことをして織り続けてきたんだ — 。
でも芭蕉を育て織る人にしかわからないものがある — としみじみと思いました。

素材となる植物と共に生き、織る — そうしてできた布ほど、愛情のこもった布はほかにないでしょう。
かつて兄弟を守る為に姉妹が織ったと言われていますが、本当にそうだったのだと思わずにはいられません。



石垣家の芭蕉畑

 11月23日(月) 絹芭蕉を織る

 先週木曜から西表の紅露工房で過ごしている真木千秋。
 10月に続いて、今年二度目だ。(10月分については下記参照)
 便りが届いたのでお伝えしよう。
 

紅露工房・石垣昭子さんのところにいます。
今回は芭蕉の仕事です。

到着翌日は丸一日、機(はた)に乗せてもらい、芭蕉を織りました。
朝、突然、昭子さんに「織ったら?」と言われて始まりました。
本来糸づくりをしてからタテ糸整経して初めて織りに入りますが、昭子さんの発想は瞬間瞬間やってきます。
それにすぐにシンクロナイズする私。
即座に何かが始まります。

昭子さんとの時間は、面白いほどダイナミックにものづくりにグングン進んだり、シーンと静かに手から手の仕事が続いたり。私にとってはどんな過ごし方も大切です。
昭子さんの言葉や動作ひとつひとつが、私の中に染み込むような感じです。
昭子さんは私のことを友達と言ってくれるけれど、私にとっとては尊敬する人生の先輩で親愛なる師匠です。

では、と私は即座に機に乗らせてもらい、タテ糸や、織りの組織や足踏みを学習後、すぐに本番。
黄繭のタテ糸に芭蕉を織り込むことで見えてくる表情。
張りと滑らかな光沢が美しく、力強い。ときどきムガシルクも混ぜ込む。
ランダムに透かして織りながら、紅花のピンク(絣の残糸)や透明感ある緑の絹糸をヨコに一本ずつ、スーッ、スーッと入れてみる。
一日で25cmくらい織れました。これはスクリーンですが、今考えている帯づくりのたたき台にもなりそうです。



織りかけの「絹×芭蕉」布。

11月6日(金) オープンハウス2009



今年は10月31日から11月3日まで、四日間のオープンハウス。
ちょっと寒い日が多かったかも。
それでも晴れた日の抜けるような青空はこの時期ならではのもの。


 


初日、ヒルギを煮出す真木千秋。
赤系の色を出すには、煮出してから時間を置くと良い。
秋の焚き火はことのほか楽しい。
残り火の焼き芋も美味しかった。



最終日の染めワークショップ。
絹布を染める。
さすが南方の染料だけあって、色鮮やか。
媒染によって色にバラエティーが。


映像トーク「ヒマラヤの麓を訪ねる」。
母屋二階が舞台。なかなか風情がある。

 


原始機で織りに挑戦する男子。
だんだん調子が出てきて、楽しそうに織っていた。

三日目のカゴ編み。
空模様がすぐれず、初めて室内でのワークショップ。
木の葉型の皿を編む参加者。


10月31日(土) 直前準備


入口の幡をしつらえる真木千秋と丸山佳代。
今年は三色。


ヒルギの樹皮を水に浸ける。
31日に煮出し、11月3日に染める。
31日は煮出しを見学できる。


  二つ作ったアフリカ機のひとつ。
タッサーシルク生成色の太糸とタッサーナーシ藍染め中太糸でバスケットウィーブ。(タタミのように経糸が見えないように織る手法)。
この先は織ってみたい人に託す。
持ち帰りはできないが、誰でも体験できる。

 
もうひとつのアフリカ機。
こちらも、しっかり撚りのかかったタッサーの太糸をかける。
さてどんな緯糸を打つのか楽しみ。





 10月30日(金) 明日からオープンハウス

 オープンハウス初日を明日土曜に控え、各員、奮励努力の日々である。
 布の展示はShopと母屋二階の二箇所。
 これだけMaki布だらけになるのも、オープンハウスの時だけだ。
 その様子をちょっとお伝えしよう。

 それから書き忘れたけれども、明日2PMより真木千秋による映像トーク「ヒマラヤの麓を訪ねて」がある。
 これは今年の夏、真木千秋がインド北部の山中を訪ねた折のものだが、外国人は滅多に訪れない秘境の話だ。
 我々の祖先もかくやと思わせる、ホントにディープなインドの営みが垣間見られる。
 これは必聴!!



母屋二階のディスプレー作業。
かつては蚕室だった50畳の広間だ。
布使いの提案も盛り込みつつ。



「ズシとニワトリは高いところが好き」の図師潤子。
Shopの展示風景。





 


オープンハウスオリジナル
左:幅23×輪の長さ60p 
右:幅22×輪の長さ70p 
素材:ナーシシルク ウール 
(右側のみ黄繭も使用)
¥8000



みんなの大好きな「あめつち」の布でクッションを作製。

 


オープンハウスオリジナル
幅16×長さ65p
素材:ナーシシルク ウール
¥8500



新井淳一さんの布も。
主に木綿。









 

 10月28日(水) ヒルギ&ちくちくマフラー

 オープンハウス最終日(11/3)のワークショップ「草木で染める」。
 今年はスペシャルだ。
 西表島のヒルギで染める。
 河口など水辺に生育する植物で、その樹皮が良い染料になる。
 赤褐色を染める。
 左写真は先日、紅露工房から送られてきたヒルギの樹皮。
 赤くて良い色が出そう。
 ワークショップでは絹布を染める。マフラーにもできる。
 残席はわずかだが、見学するだけでも楽しいはず。

 右写真はオープンハウス・オリジナルの「ちくちくマフラー」。
 ナーシ絹布などをちくちくと縫って、縮絨(しゅくじゅう)したりと、まことに楽しい作業であるらしい。(9450円〜)
 そのほかナーシの布でつくった簡単な巾着や、「あめつち」でつくったクッションなども。

 
 







 

 10月27日(火) アフリカの機

 台風が遠くを通り過ぎて、さわやかな一日。
 みんないそいそとオープンハウスの準備に励む。
 庭ではアフリカの機(はた)。
 アフリカのラフィア(麻)を織る機をヒントにしたものだ。
 こんなふうに、木の枝をそのまま使っていた。(写真左上)

 とは言っても、こんなにうまい具合の木の枝はなかなか無い。
 じつはこれ、木こりの山崎和彦(通称ヤマ)が持って来たもの。
 ヤマは酒井美和(スタジオスタッフ)の夫で、林太郎の父親に当たる。
 隣村・檜原村山中の崖によじのぼって切り出してきた。
 なおヤマはオープンハウス中、駐車場係を努めるそうだから、見かけたら労をねぎらってやってほしい。
 写真左上で作業しているのはラケッシュ。

 脚の接合部(写真左下)に使っているヒモは、ヒマラヤ産の植物繊維だ。
 これは「絲通信09年秋号」で真木千秋が由来を述べているが、今年の夏にヒマラヤ山麓の村を訪ねた時にもらってきたもの。
 それを藍などで染めてヒモにしてみた。
 なお「絲通信」はまだ残部があるので、もらってない人はオープンハウス会場にてゲットしていただきたい。

 右写真は、その機にタテ糸をかける真木千秋。
 「木の枝で作るこんなシンプルな機から、アフリカの力強く繊細な布が織られるなんてねえ…」と真木千秋。
 この機の全貌は、来てのお楽しみ。

 
 








 10月26日(月) 木の葉の皿

 今週土曜から始まる竹林オープンハウス
 その三日目(11月2日)には真木雅子によるカゴ編みワークショップがある。

 真木雅子といえば、その名から察せられるごとく真木千秋の母親である。
 バスケタリーひと筋に四十有余年。
 まあ身内で言うのもなんだが、「斯界の第一人者」ということになっている。
 自らカゴを編むばかりでなく、人に教えることも大好き。
 現在、東京・小金井市でラタンアートスクールというのを主宰している。
 弟子が日本中に二千人くらいいるそうだ。

 そんなパワフルママであるからして、真木テキスタイルがオープンハウスをやるときには、カゴ編み材料持参でお出ましになるのである。
 そして、自らデザインしたバスケタリーを参加者の皆さんと一緒に編むわけだ。
 作品は毎年違う。昨年は「丸い柄付の多目的カゴ」であった。

 今年は「木の葉型の菓子皿」(写真上)。
 材料はバゴバゴという、南方のアケビ科の植物だ。
 長さは20cmくらい。
 これを二時間くらいかけて編む。
 和菓子などを盛りつけると特に美しい。
 壁面にピンナップしても面白い。
 ひとつだけだと淋しいので、今回は各自二つ分の材料をつけてくれるという。
 ワークショップでひとつ作り、もうひとつは家でゆっくり作る。

 真木雅子の熱血指導も見物だ。
 写真下は一昨年の模様。
 まさにこの母にしてこの…である。
 申し込みはこちらを参照。









 10月19日(月) 西表余録「紅花」

 ちょっと掲載が遅れてしまったけれども、先日真木千秋が滞在した西表島・紅露工房で、ひとつ忘れられないことがあった。
 それは紅花…。

今回西表で昭子さんに教えもらって、初めて紅花で座繰り絹糸を染めた。
今までに経験したことのない色。
生の花びらから染めるピンク色。
ビックリしてしまうような本当の「ピンク」。

まず、花びらから黄色分がなくなるまで黄色を取り出す。
この黄色は婦人科系の薬として少し飲むと良いとのこと。
それから花びらに残った赤い色を糸にうつしだす…という感じ。

色の濃度はもちろん弱い。
それでも、染める糸の選び方や染め方で少しは強くなるそう。

生きている花のはかなさと同じ — 。
その驚いてしまうほど美しいピンク色は、時とともに色があせていく。
それでも染めたいし、身につけてみたいし、見てみたい色だ。

染める素材が良ければ、色の移ろいゆく姿も、きっと楽しめることだろう。
それにしても、藍の生葉の染めの時には、透明な色が見えてくるとき胸がスーッとする。
ところが、糸がピンク色になる瞬間は、なにか興奮状態だった。
一瞬、口もきけないような…。

このピンク色を、たとえば白い糸の中に藍の生葉のエメラルドブルーと一緒にほんの数本、タテに入れたら…。
そんな織物を想像しつつ、うっとりしている。

紅花育ててごらん、と昭子さんから種を貰ってきた。
いつか育った紅花で染める日を楽しみにしている。



紅花の花びら



山羊が沖縄的

 

 10月1日(木) 西表便り2「島の日々」

 先日に引き続き、昨夜届いた西表便り。
 真木千秋、すこぶる嬉しそうで、しばらく戻ってこないかも。
 ところで、今日は竹林Shop開店三周年記念日なのだ。
 今日ご来店の皆様には、特別サービスがある模様。(告知が遅すぎ!? )

今日(9/30)も一日充実した時間を過ごして、さっき島の我が家へ戻りました。
月がすごく綺麗。
今朝までスコールの連続でしたが、明日は晴れそう。
連日ムシムシの気候で、雨なのに暑く、夜も熱帯夜で3,4回蚊帳から抜け出して水浴びした日もあったくらい。

あっ、蛍!
家の周りには明かりがないので、目をこらして裏のほうも覗いてみたら、いるいる、数えきれないほど。
西表ボタルは飛ばないでひとところでじっとしている。
蛍も雨が上がるの待ってたはず。

今晩で五回目の夜。毎日いろいろな作業をしています。
以前、昭子さんの家の庭に、インド藍の種をこぼしてしまったそう。
そこにインド藍がもさもさと生えていて、それをお昼頃に金星さんが根っこごと抜いて工房に持ってきて、上のほうだけ半分ザックリ切って、直径30cmくらいのホーロー容器に浸け込んで石で抑えていました。
そして一日経って今日の昼食後、昭子さんが何やらいそいそとその生藍の半発酵の液を少し温めて布を試し染めている。
私にも染めなさいと言ってくれたので、座繰りの糸を染めました。
生葉でなければでないエメラルド系の透明なブルーが染まり、二人で大興奮。
うーんやっぱり自然からのものは予測不可能。限りなくいろいろな発見があるねぇ。やってもやっても尽きないよ — と昭子さん。

染めた布を一枚、海ざらししよう!と今日で三日連続で満潮に合わせて海ざらし。
一日の汗を流しつつ、芭蕉の茎をひとり一本ずつ浮き枕にして、ゆっくりぷかぷかと海に浮いて(?)きました。(写真上・布は当日インド藍で染めたもの)

昨日、おとといは座繰り絹糸の撚かけ、ヒルギ糸染め、芭蕉交織の使い方や製品のサンプルづくりなども。
夜はヨコ糸の糸巻き。
おしゃべりしながら手は動いています。(写真下)
お喋りが途切れたな、と思ったら昭子さんのまぶたが閉じていて……でも手はくるくると糸巻いていました。

一日中、滞在中ずっと、糸や織りや染めのことのみ。
あとはご飯を作ってはいただき、海に入り…最高に幸せな日々。
明日は紅花染めです。
あーうれしい。神様ありがとう。



















 

 9月27日(日) 西表便り

 先週金曜から沖縄・西表島に滞在中の真木千秋。
 紅露工房の石垣昭子さんのもとで楽しく過ごしているようだ。
 絵日記が届いたのでご紹介しよう。
 写真上は朝の風景。下は芭蕉の糸巻き。(クリック拡大)

風に揺れる木々の音、時々木の実が屋根に落ちる音、琉球コノハズクの声が響いている。
明日も晴れそうだ。
遠くに波の音が聞こえる。

浜辺から歩いて2分くらいの小さな沖縄の民家に滞在している。
雨戸だけの窓からは良い風が入ってくる。
寝るときは蚊帳の中。電気を消すと、すだれごしに外がぼんやりみえる。
敷地の入口には大きな福木が二本、家を守るかのように立っている。
一日、石垣昭子さんの工房で過ごして、夜はこの小さな家にただひとり。

さっきまで芭蕉の糸巻きをしていた。
昼間は麻のタテ糸の巻き込みを手伝ったり、明日染める糸の準備をしたり、それぞれの仕事の近況や、私達は何をするべきなのかを話し合ったり、お昼寝以外の時間は盛り沢山。
手作業をしながら話しは尽きない。

昭子さんが長年取り組んでいる糸芭蕉のプロジェクト。
島々でなくなりつつある芭蕉を世話して、繊維を採り、糸にして、工夫して織る。
私も芭蕉の繊維の力強さに魅せられ続けて来た。
力強さ、輝き、この植物がもつ不思議な透明感のようなもの…。美しさ。
インドの野蚕ムガシルクも持つような素材そのものの美しさ。
東京のあきる野市では育てることができず、いつか自分で育てられる環境が整ったら是非と思っていたが、昭子さんはそれは気にしないでとにかく参加しろと言ってくれた。
うーんそれはありがたくて面白い。
この滞在中にもう少し見えてくるだろう。〈続く〉



















 9月16日(水) ちくちくワークショップ

 昨日終了したえみおわす展
 たくさんの皆さんにおいでいただき、スタジオも久々に賑わったのであった。
 普段とは違って若い人々が多く、おもいおもいに竹林を楽しんでいかれたようであった。

 ところで、えみおわす展では毎回ワークショップを開催する。
 昨年はパンツ。
 今年は脚絆であった。
 脚絆(きゃはん)って知ってる?
 足首から上にかけて巻く布だ。
 水田順ちゃんの指導で十数人が参加。
 初秋の日差しを縁側に受けながら、皆さん熱心にちくちくやっていた。
 以下は当スタジオ・キュレーター石田紀佳の解説;

ひたすらどこまで細かく縫えるか、をテーマにみなさん脚絆を手縫いしました。
ラオスのレンテン族の女の人たちの民族衣装のひとつの脚絆に、靴下も自分でつくりたいと思っていた順子さんはひかれたそうです。
40cm巾ほどで1mの長さの布をナナメにたって、紐をつけてかがっていくだけです。
布はタイの茶綿とラオスの藍。
おもしろかったのは、レンテンの人たちはまち針を使わないということ。
でも参加のみんなはまち針になれているので最初とまどいました。
「できるだけ道具を少なくしてやってみる」と発見があると順子さんはいいます。
アイロンもつかわず、手と針と糸だけでつくります。物差しもなくても、体の一部を物差しにしてはかります。

できあがった脚絆を脚にまくと、脚が気持ちよくて疲れない。
三時間はあっというまでしたが、ひたすら細かくしたのでほとんどの人は半分だけの仕上がりで、あとはお持ち帰り。




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 9月9日(水) 今日から「えみおわす展」



 今日からえみおわす展
 実は、えみおわすのお二人、順ちゃんと直樹君は、お隣の八王子に住んでいる。
 車で20〜30分ほどの距離だ。
 だから、おとといあたりから展示に励んでいる。
 展示会中も毎日二人でやってくる。
 近いといろいろ便利である。

 左側はShopの様子。
 上写真は順ちゃん。腰巻のヒモを整えている。
 今年は腰巻が8色あって充実している。
 格子柄も初登場。左端の二枚だ。(写真クリックで拡大)
 右上にある▲の物体は綿の「刺し子袋」(¥3675)。
 左下の写真は、先日帰国したばかりの直樹君。

 右写真は、母屋の二階。
 ここは「水田順子・版画ギャラリー」だ。
 ゆっくり座って観られるよう、壁に飾ったり、立てかけたりしている。
 古い柱や漆喰の壁にしっくり馴染んでいる作品の数々。
 版画の他に、月のカレンダー、小箱、手帳、ちりとり。すべて順ちゃんの手作りだ。
 そうしたものが渾然一体となって、かつてない異空間を形成している。
 9月15日(火)まで。

 







 9月7日(月) 藍の生葉染め


 

 一昨日、インドより帰国の真木千秋。
 今回は六週間にわたる暑いインドでの滞在であった。
 そして日本に戻って最初の仕事が、藍の生葉染め。
 毎年夏の恒例行事だ。
 以前にも書いたごとく、今年は種まきに失敗し、みなさんのご協力を仰いだのであった。
 おかげさんでつつがなく藍の収穫ができた。
 それでは真木千秋からごあいさつ。

 今年も無事、藍の生葉染めができました。
 スタッフ総出で葉っぱをもぎりつつ、糸などを染めました。
 今日は藍染日和の良いお天気。ケヤキの木の下で、気持ち良く作業できました。

 けっこう力強い色が出ました。
 春繭の座繰り糸はやっぱり真っ白なので、透明感のあるエメラルドブルー。
 葉や水の量、藍の絞り方やタイミングで、微妙に限りなく違う美しい色が染まります。
 染めている間にしか見られない色も…。
 今年は八重山に行かれなかったけれど、珊瑚礁のあるあたりの海の色みたいで、胸がす〜っとしました。
 これで夏を終えることができます。

 夏の名残のせみしぐれの中、暗くなるまで染め続けました。
 今年は何人かの皆様よりわけていただいた種から育った藍で染めることができました。
 本当にありがとうございました。

 






 9月3日(木) 酵素絞り


生絹の布を絞る酒井美和。

   酵素絞りというのをやった。
 これはMakiオリジナル。
 ヒントは、百年前のヨーロッパのシルク・プリーツだ。
 たとえば、Issay Miyake の「プリーツ・プリーズ」は、ポリエステルを熱加工している。
 百年前にどうやってシルクをプリーツ加工したのか。
 それは精練によるものではないか、と真木千秋は考えた。

 絹の繊維は、セリシンというニカワ質によって保護されている。
 このニカワ質を除去するのが、精練と言われる作業だ。
 これは、アルカリや酵素によって行われる。

 生絹の織物を絞って、精練してみたい。
 これが真木千秋の長年のプランだった。
 絞って精練することによって、セリシン除去にムラが起こる。
 それによってテクスチャに変化が起こるのだ。

 Makiには、うってつけの生絹織物がある。
 「ミュージアムピース」と「アトランダム」と呼ばれる布だ。
 どちらも手引きの絹糸を使って手織りされている。
 保護層セリシンが残っているから、強靱で、サラッとした感触が楽しめる。
 ただ、最初のうちはなかなか馴染んでくれない。

 そこで、生地をヒモで絞り、酵素に浸けて、部分的にセリシンを除去してみる。
 精練した後、ヒモを外すと、自然なシボシボが現れる。
 それに染めを施す。
 (絞り染めではないので、染める前に絞りを解除する)

 今回はビワで染めてみた。
 染めた後も、自然なシボシボはちゃんと残っている。
 オレンジ、ピンク、グレーの三色。
 40cm × 160cmの小ストールになる。
 


ビワを煮る田中ぱるば。


0
染め上がり。

 8月23日(日) 苦節三年の入口

 ここ五日市に店が移って、もうじき三年。 
 店はできたが、入口の表示をどうにかしなきゃ…。
 それが懸案だった。

 今までいろいろ試してはきた。
 脇に伸びている竹から吊したり、竹竿で三脚を組んでみたり。
 しかし竹は台風でやられ、三脚も朽ちてしまった。
 もうちょっと恒久的なものが欲しいと、昨年末から企画する。

 それがこのたび、やっと完成した。
 ご覧の通り。
 どう、なかなか良いでしょう。

 高さ約3m。
 地面から鉄のポールが伸び上がっている。
 デザインは、竹林Shopと同じ建築家の丹羽貴代子さん。
 施工は森屋棟梁とその仲間。

 上の横棒から、ゴールドと黒の幡(ハタ)が下がる。(クリックで拡大)
 ゴールドはタッサーシルク、黒は木綿だ。
 今のところ幡はこれ一枚だが、そのうちバリエーションができるかも。
 (ちなみに幡の語源はサンスクリット語のpataka)

 ただ、五日市駅方面(写真の奥の方)から来た場合、緑に隠れてなかなか見えない。
 車だったら、見えた頃には通り過ぎてしまうかも。
 そんなときは、あわてずゆっくり、どっかでUターンして戻ってきていただきたい。






 ギーポットと衣たち。
 ストールやインテリアのスペシャルも少々あり

 今日は8月初日の土曜なのにどういうわけかさっぱり来客がなく、おかげでゆっくり写真撮影。

 


8月1日(土) 8月の竹林

 
いったい梅雨が明けたのか否かよくわからない日々ですが
、蝉たちは元気に夏を謳歌している竹林。
 ShopのBGMもすっかりかき消されてしまいます。
 今、午後3時半。竹林蝉蝉合唱団のメンバーは、ミンミンゼミ、アブラゼミ、ニイニイゼミ、そして遠くからはヒグラシの声も聞こえます。

 さて今日からShopもちょっと模様替え。
 暑い中ご来店くださる皆さんのため、特別な品々を用意しました。

 左写真の前方にある木の壺「ギーポット」。これはヒマラヤ地方で使われたアンティークで、一本の木をくりぬいて作られています。この中にミルクを入れて、ギー(精製バター)を作ったことからこの名があります。
 その後方の服たちは、「竹林スペシャル」。ちょっと難アリのカディ(手紡ぎ手織り木綿)やシルクの衣などが、定価の3〜5割引です。

 カフェは9月8日まで夏休みですが、そのかわり茶菓の接待あり。
 この機会にぜひどうぞ。
 
(写真クリックで拡大)

   
   
   




 インド土産のカディタンクトップ。よく現地の労働者が着ていますが、肌触り良く、夏にピッタリ。1,570円。
 後方には袋のスペシャル。

 
 

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