1月1日(金) 新春のご挨拶







 

 みなさん明けましておめでとうございます。
 おかげさまでMaki Textile Studioも、まあ大概において、つつがなく、新年を迎えることができました。
 今年はどんな年になるのでしょう。
 まったく先が見えないから、かえって楽しみでもあります。
 そもそも先なんて見えないもんだしね。
 今、真木千秋はじめ四名のスタッフがインドで仕事をしています。
 真木千秋から先ほど新年のメールが届きましたので、ご紹介します。

明けましておめでとうございます。
久しぶりに新年をインドで迎えています。
気がつくとまた土の上でウキウキしながら織物作りにいそしんでいます。

数日前に国立手工芸博物館でちょっとしたミニ手機を見つけました(写真左上)。
それを一緒に持ち歩いて、ちょこちょこ織りながら、織り師さんとの日々です。
朝から晩まで土の上にいます。
相変わらず、同じような営みの繰り返し。
でも同じではないのです。
「今年の味噌はこれこれの味だったねえ」みたいに。
タテ糸づくりも。
同じように見えるタッサーシルクや家蚕の糸も。
雨や太陽や風....気候の違いや、手によっても、ちょっとずつ違ってきます。
そして自分がどのような状態であるかによっても。

「手」の仕事。「手」つむぎの糸。「手」で染める、巻く、織る。
手でなければできない仕事。それを続けます。
目に見えないなにか — も織り込まれます。
今年はどんな色合いが出てくることでしょう。
どんな風合いが生まれるでしょう。
冬の間はしばらくインドの土の上でゆっくりと織物づくりに励みます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 左下写真は、「折り返し織り」ストールのヨコに使う糸。
 小さな手は、染師キシャンの娘の手。
 インドでの仕事の日々が続きます。
 とはいえ、気候風土が違うだけに、そんなにスムーズにはいきません。
 先日もスタッフZが地元料理を食べ過ぎて腹をこわし、数日床に伏したようです。

 私ぱるばは信州上田の実家で年越し。
 うっすら雪の積もった正月でした。
 9日からのハギレ市は基本的に毎日在店しますので、ヒマな人はお越しください。





 

 1月8日(金) 明日からハギレ市

 明九日の土曜から今年の初売り「ハギレ市」。
 冬晴れの中、展示の仕上げをする。
 左の写真。
 手前は大きめのハギレ。
 カゴの中には小さいの。
 大小合わせて四百点ほどある。
 奥に並んでいるのは福袋。

 私ぱるばは、まず柚子(ユズ)採り。
 今年は柚子のなり年で、ここ竹林の柚子もたわわに実っている。
 ハギレ市でゆず茶を出すという趣向。
 しかし、柚子の木というのは、鬼みたいにトゲトゲしているのだ。
 分厚い革手袋で作業したのだが、無防備の両手首はたちまち傷だらけになる。
 それにもめげず木に登って奮闘。
 人類の祖先は猿だということを実感する。
 スタッフ手製の柚子茶を試飲してみたが、まことに美味。
 来竹の皆さんには、正月でもあることだし無料でふるまいたいところだが、それだと有り難みがないので、賽銭として百円頂くことにした。

 下写真はコースター。
 Maki布のハギレから作ったもので、材質はウール×シルク。
 そのウールを手で揉んでフェルト化している。
 Maki布をフェルト化するのは初の試みだ。
 元の生地とはまったく違った風合いになる。

 




 


1月8日(金) 霧のデリーより by まきちあき

 デリーは霧の中。
 今夕暮れで機場(ハタバ)からの帰り道です。菜の花畑がどこまでもどこまでも続いて霧に消え入ります。
 今日の経(タテ)づくりは、大切な紅花染めの糸、生葉+フクギの黄緑など。
 そのほか、ログウッドの薄紫やメヘンディのグレー。
 花や木や草の精と遊んだような気分です。
 タッサーシルクの座繰りの生成の糸と合わせて、小さめな春のストールの経をつくりました。
 数日前には久しぶりに二重ビームなんかもしっかり作っていて、やっぱりいいなあ……なんて言ってます。
 飽きもせず頬ずりしてしまう自分に苦笑いです。
 やっぱりなんといっても素材。ソザイ、そざいです。



 

 1月9日(土) 天使の来訪

 ハギレ展初日。
 遠くの国から天使が舞い込む。

 いきさつはこうだ。
 真木千秋の母方祖父に、千野利雄という人がいる。
 画家であり、また折紙作家であった。
 その千野利雄画伯、かつて荻窪で折紙教室を開いていたことがある。
 その教室に通っていたというMさんが、今日、竹林にお客さんとして来訪。
 少女時代の四年間、千野画伯に親しく折紙の手ほどきを受けたという。
 花や虫や動物など、今でも三十点ばかり折れるそうだ。
 いずれも画伯のオリジナル。
 一枚の紙から、ハサミをつかわず、いろんなものを折り出す。

 そのMさん、今日見せてくれたのが、「天使」。
 A4のコピー用紙を使って、ほれこの通り。(左写真)
 ヨーロッパ滞在中に披露したところ、大好評だったとか。
 それを見たMakiのスタッフ、「私も、私も」と群がる。
 かくして仕事もそっちのけに折紙教室がスタート。
 なんでも折り鶴の変形だそうだ。

 そういえば真木千秋も祖父の遺産を受け継いでいて、いろんなものを折ることができる。(本人によると百種は折れるそう)
 今度オープンハウスの時など、折紙教室をやったら、という声も上がったハギレ初日であった。

 

 


1月23日(金) 布となって里帰り



 

 昨日、真木千秋が約一月ぶりにインドから一時帰国。

 今回の出張は大変だったようだ。
 帰国便にそれが象徴されている。
 デリー空港から成田空港まで、なんと40時間近くかかっている。
 かつてなかったことだ。
 今回はキャセイ航空を利用したが、濃霧のためデリー空港で11時間半待機。そのため香港の乗り継ぎが果たせず、香港でも一泊して翌々日の午後3時にやっと日本到着。

 デリー滞在中も連日霧に閉ざされ、寒くてずいぶん辛い思いをしたらしい。
 それでも頑張って、いろいろ新しいものを作ってきた。

 今日は一日自宅で静養するはずが、輝く陽光に誘われて、フラッと竹林に現れる。
 まだまだ寒い五日市だが、こんな日差しは一ヶ月ぶりだという。
 トランクを空けて、春の新作ストールを酒井美和に披露。

Chiaki(左側)「いろいろ作ってきたよー」
Miwa(右側)「わー、ホント」
C「インド行く前に、ここにずっと糸を置いてたでしょ」
M「ええ、生葉のうすブルーとか、黄緑とか、紅花のピンクとか…」
C「これはね、フクギで染めた糸がいっぱい入ってる。苧麻も入れたし」(黄色のストール)
M「春ですねー」
C「ほら、この黄緑のも見て」
M「わー、わりとシブいけど、よーく見るとスゴくきれいな色が入ってますね」
C「まだまだあるよー」

 昨年12月21日の記事でご紹介いた糸が、布になって戻ってきたのだ。
 今回は五点ほど新作を持ち帰ってきたが、まだ機(はた)にいろいろかかっている。
 二月に入ってまたすぐインド。
 束の間の日本を楽しむ真木千秋だ。


2月8日(土) 平織の布

再びインドに赴いた真木千秋。
今度はデリーもすっかり春めいて、布づくりもずっと楽になった模様だ。
機場(はたば)から便りが届いたので、ご紹介しよう。

 

 グラムという名の、静かでありながらとても手のしっかりしている織師さんがいます。良い打ち込みをしてくれるので、前回の滞在から平織の服地を織ってもらっています。
 平織と言っても、杼(ひ)の数は五本。
 一本の杼の中には、様々な絹糸が3〜4種類引き揃えられて入っているという、かなり複雑なもの。
 その5本の杼をなるべく不均一に織ってもらうようにお願いしています。

  前回、良いところまでいっていましたが、今回インドに戻ってくると、織りがまた少し均一に…。
 そこで今日は、少し不均一さを出してもらうために小一時間私(真木千秋)も機の横に立って、「はい、次はギッチャーの太いほう、はい、次はタッサースパンとバンガロールの糸、はい、次はギッチャーの細いほう」.......などとブロークンなヒンディー語で
指示を出し、少し不均一さを覚えてもらうようにしました。
「ティーケ? パトラギッチャワラ、シルクワラ、ドゥスラギッチャワラ、バンガロールワラ........ティーケ?......トーク、トーク、ティケ?」というような具合に。
 不均一にすると今度は厚さが変わってきたりするので、そこを調整しつつ.......。

   この布は、平織りでもいろいろな異なったシルクを一緒に織っています。それで微妙に凹凸があって、風合もよく、厚みもあるので、パンツや、巻きスカートなどの春の服も作る予定です。スプリングジャケットなども。
 メヘンディ(ヘナ)やざくろで糸を染めてからの織りなので、春らしいモスグリーングレーのような柔らかい色合いです。
 お楽しみに。




 

2月16日(火) 

明日から2月スペシャル

 

 節分を過ぎたと言えども、まだまだ寒く、訪れる人も絶えて無い竹林。
 こんな時だからこそ五日市に来てくれる殊勝な人のために、スペシャル品を多々取り揃えたのである。
 担当の酒井美和いはく;

 今回はがんばって充実させました。
 冬の暖かいジャケットやパンツ、スカートが20%〜40%オフで2万円代。
 これから春に着られる。きれいな色の麻とシルクのジャケットやパンツ、ワンピース、カディーの服も全て-40%で、1万円代から2万円代まで。
 少し難ありのベットカバー(60x220cm・定価59,850円)が30〜40%オフ。
 ストールも
種類色々。(シンプルストール8920円〜)
 小物類もお安くなってます。

 とのこと。
 なお、シェフのラケッシュが帰郷中なのでランチはないが、暖かい飲み物と菓子はある。すぐ近所の川縁に美味しいイタリアン、ちょっと先に和食「魚冶」も。ついでに温泉もあるし。
 セールは今月いっぱい。

 

2月28日(日) 尊師ジャグデッシュ

インドで布づくりに励んでいる真木千秋からのメール。
今回はアシスタント・ジャグデッシュの登場だ。
ジャグデッシュは三年ほど前から機場のアシスタントとなり、真木千秋の手足となってよく働いてくれる。

文中「パンディッジ」という言葉が出てくるが、これは「pundit ji」の略。
「pundit」というのは「先生」、「ji」は敬称。すなわち「尊師」みたいな意味だが、これはつまり彼がヒンドゥー教のバラモン階級に属するからだ。
ぜんぜん尊師じゃなくても、この階級に生まれつくと、みなにそう呼ばれるらしい。
カースト制によれば、第一階級が僧侶階級のバラモン、第二が武士階級のクシャトリア、第三が商人のヴァイシャ、第四が農民のスードラとなっている。
まあ、Makiの機場では関係ないが。
ニルー家も第三階級だが、そこに雇用されているわけだし。そして織師たちはイスラム教徒だし。

   ジャグディッシュもがんばっています。毎日毎日真木千秋と織師の間をとびまわって仕事しています。
 今日もお茶に行こうとしていた織師デルモハマドを説得して、「早くサンプルを織るように」…などと言ってました。
 細かいヨコ糸の指示や、微妙な色の違いもよく見て理解してくれます。糸をそろえて織り師に渡す仕事やら、タテ糸をつくるときには実際に糸を一本ずつ私が選んでジャグディッシュに手渡すと、整経機に入れこんでタテ糸職人パシウジャマに何本取りかなど伝えます。パシウジャマとも気を合わせてやってくれています。
 織師たちからパンディッジと呼ばれ、私からも呼ばれ、いつもいつも大忙しです。

5月24日(月) 明後日からカディ展


 

 晩春の雨で新緑もひときわ映える、五日市・竹林。
 あさって26日からカディ展だ。
 Shopの中では、飾り付けの作業が始まった。

 インドの手紡ぎ手織り木綿。カディ。
 真木千秋もずっと昔から愛用していたが、Makiで初めて展示会をしたのは2001年。ニルー・クマールの来日にあわせて、青山店でご紹介
 以来ほとんど毎年のように開催している。
 今年で八回目。そして「最後のカディ展」と銘打っている。
 なぜ「最後」かというと、インドの社会も変化が著しく、手仕事の質を維持するのが難しくなってきたからだ。しかしまったくおしまいというわけでもない。私たちのカディへの愛着は変わらないだろうから、毎年少しずつはご紹介できるとは思う。

 今年は新しいスタイルが七点ほど。色はナチュラルベーシック。
 合わせて三百点ほどお目見えする予定。詳しくはこちら。

 今日は大村恭子と浜野香が二人でのんびりと作業にあたる。
 右写真で脚立にのる大村恭子。産休が明けて復帰だ。
 「Makiのニワトリ」の異名を取る高所好きだが、久しぶりでちょっと勘が鈍ったとか言っている。まあ気をつけてやっておくれ。

 母屋2階では秘蔵写真も交えたトーク「カディの故郷を訪ねて」があるので、そちらもお楽しみに!!  (基本的に毎日午後2時より開催)

 

 

5月30日(日) ちくちくループ


 

 カディ展五日目。
 どうもこのところ天気がすぐれず、今日などインドの木綿だけではチト寒いくらいだ。
 竹林母屋は暖房まで入れていた。
 明日は少々マシになるらしいが、早くカディ展らしい気候になってもらいたいものだ。

 今日は「ちくちくループ」なるものをご紹介しよう。
 以下、大村恭子より伝言;

 Makiではさまざまなハギレが出ます。服を作ると出るものや、試し織りのサンプルなど.....。
 サイズが小さければ小さいほど、近くで目をこらして布を見るようになります。
 一本一本、草木で染めた色や手紡ぎの風合いがつまっていて、とても捨てることのできない布たちです。
 最近は小さなハギレを合わせてチクチクと刺し子をした小さなマットを作り、袋やポシェット、ポーチ、 そして鍋つかみなどを制作しています。みなさんも ここ1、2年、目にしてくださっていると思います。
 今回は夏向けに白をベ—スに爽やかな色目のチクチク「ループ」が出来上がりました。
 鍋つかみに、カフェオレ カップのコースターに、お急須のマットに… 使い方はいろいろです。


6月9日(水) アライラマ邸訪問


 

 久しぶりにアライラマこと新井淳一氏宅を訪ねる。
 群馬県の桐生だ。
 新井夫妻にお目に掛かるのは、私ぱるばにとっては四月の北京以来二ヶ月ぶりだが、真木千秋はかなり久方ぶり。

 例によって、氏と真木千秋は、さっそく「宝庫」に入り込み、布をいろいろ引っ張り出す。(写真左)
 実は真砂三千代さんが氏の布で衣を作りたいというので、その見分もあったのだ。

 新井邸の宝庫はひとつだけではない。五つ六つある。そのうちのひとつ、「係員以外立入禁止」の宝庫に闖入する真木千秋(写真右)。
 ここは糸蔵だ。なにやら面白そうな糸を見つけたらしい。強撚の木綿単糸だということ。

 それから、近所にある老舗の糸商に真木千秋を連れて行く。
 特殊な織り糸を紹介しつつ、店の主に「これは私の一番弟子です」とのたまう姿は、この織物の里の長老といった風情である。(一番弟子云々にはいささか異論もあろうが)

 四月の北京・清華大学での新井淳一展は大好評であったらしく、この秋には国中の繊維業者を集めて上海南郊で更に大きな新井展が開催されるらしい。万博期間中のことでもあることだし、これもまた楽しみだ。

 

6月12日(土) 新作越中


 

 褌評論家・田中ぱるば企画による新作、越中褌。
 これは今年三月末、気温35度のデリーで汗をかきかき生地屋に出向き、みずから選んだタッサーシルクの生地を使って、Makiの腕利きテーラーが縫製したものである。
 なじみのタッサー生地屋に数年ぶりに赴いたのだが、なかなか思うような生地がない。たとえば前回作ったモトカ絹の生地とか。

 唯一気に入ったのが、この格子柄の生地。
 半漂泊のタッサーシルクに、木綿糸が格子状に織り込まれている。
 シルクの肌触りと清涼感に、木綿の強度+吸湿性を兼ね備えた「最強の褌」。

 半練りのベージュ色が精悍な美しさをかもしだす。
 前回のタッサー格子よりも濃色だ。手引き糸を手織りしているので、一反一反、色や風合いが違うのだ。
 男の勝負褌に最適。(もちろん女も。ちょっと幅広だが)

 誰もモデルになりたがらないので、ダミーに装着してもらう。
 サイズ:34×110cm。
 5000円。限定4点。ホームページ読者には特別に送料無料。

 

6月16日(水) 赤井博士来竹





 

 一昨日の月曜、国際野蚕学会会長の赤井弘博士が竹林に来訪。
 博士とは1994年信州穂高の野蚕学会以来のおつきあいだ。
 読んで字のごとく、野蚕研究の世界的権威である。

 三時間にわたって様々なお話をうかがう。
 実は私ぱるばは高校時代、生物がかなり得意だったので、博士の研究には興味が尽きない。
 博士は22年前、世界で初めて「野蚕糸の多孔性構造」を発見している。
 下写真がタッサーシルクの断面図(日本野蚕学会会報より)。走査線電子顕微鏡による写真だ。
 このような構造は野蚕(ヤママユガ科)のみの特質であり、家蚕糸(普通のシルク)との大きな違いでもある。
 (家蚕糸にはこのような孔は無い)
 それによって、家蚕シルクとどのような違いが生じるかと言うと;

  • 光が乱反射することにより、独特の光沢が生じる。
  • UVカット効果が大きい。
  • 空気を含むことによって、保温性・保湿性に優れる。
  • 軽い割に、ボリューム感がある。
  • シャリ感が出る。

 今回、当スタジオで博士の関心を惹いたのは、Makiお気に入りの素材、ナーシ糸
 タッサー繭の柄部分から紡がれた糸だが、まだその研究はなされたことがないという。
 そこで今年2月にインド・オリッサ州で入手したタッサー繭を博士に進呈する。
 さっそく電子顕微鏡などで分析するということで、その成果が楽しみだ。

 その他、野蚕糸の色素、アジア各国の野蚕事情など様々な興味深い話があったが、ちょっとした「怪談」も。
 最近中国では、野蚕(柞蚕)は食材として注目されているのだとか。
 そういえば昨夏、寧波のとある料理店で私は目撃したのだ。プリプリした大ぶりの生きたサナギを!! サイズから言って、あれは柞蚕に違いない。
 それから博士自身も遼寧省で、柞蚕成虫の「天ぷら」を食したそうだ。知らずに口にしたが、けっこう美味だったという。「サナギより美味いんじゃないか」とおっしゃるが、博士自身サナギは食べたことがないそうだ。
 さすが「空飛ぶものは飛行機以外何でも食う」といわれる中国だが、考えてみれば我が故郷の信州ではイナゴも食うしな。あれは海老の佃煮みたいでけっこうイケるのだ。

 しかし一番印象的だったのは、もう傘寿を迎えた博士の若々しさだった。当日も雨天にもかかわらず、この辺鄙な五日市まで往復五時間の道のりを軽々とこなしておられた。国際野蚕学会の会長などきっと激務であろうに、今秋は日本でその国際会議を主催。あと十年は現職を務めるという。
 やはり人間、好きなことを続けておられるとこのようになるのか。
 いろいろ勉強になる赤井博士の来訪であった。

 


6月19日(土) 而今禾・東京店





 

 昨日は「而今禾」東京店のオープン。
 読み方のわからない人はこちらを参照
 本店は三重県の関にあって、Makiとはもう十年以上のおつきあいだ。
 それが突如、東京の世田谷に店を開くというので、オープニングパーティに参上する。

 東急田園都市線・桜新町駅南口からサザエさん通りをずーっと南下。
 閑静な住宅街に忽然と現れた而今禾東京店(写真上)。
 白い建物の正面に佇立する槇(マキ)の大木が印象的。
 玄関口でオーナー夫妻の愛娘ゆめのに迎えられる。(たまたま玄関に居合わせただけだが)。もう小学六年生だという。(平日なのにここでいったい何を!?)
 スリッパがなかなかよろしい。聞けばマスミツ氏と謀った而今禾オリジナルだという。(負けた…)
 オープニングイベントは陶芸「青木亮のしごと」展だ。
 夕方からのパーティには、雨天にもかかわらず大勢の人々が詰めかけていた。

 三フロアの建物。
 一階(半地下)が物置的なスペースで、今回は大物の展示に使われていた。
 二階が展示会の主会場。奥には茶室を思わせる四畳半の和室がある。常設時にはきっと模様替えされるのであろう。
 三階は二部屋ある。手前が器物。山口和宏さんの木器も置いてある。奥の部屋は衣だ。
 
 写真下がその奥の部屋の模様。
 Makiのものも散見される。
 たとえば、手前に掛かっているショールとか、試着室に敷いてあるタッサーラグとか。
 写真の人物は店長の竹内万貴(まき)さん。東京店のためにはるばる赴任してきた而今禾のホープだ(たぶん)。しばらくはオーナーの西村ヒロ氏と二人三脚でがんばるらしい。(スタッフ募集中)
 しかし、庭前の大木といい、店長の名前といい、当スタジオとゆかりが深い。

 ともあれ、この時節、元気の良い而今禾である。
 みなさんも一度お運びになるとよろしい。
 ブログはこちら
 


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