絲絲雑記帳 2011

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いといと雑記帳 11春/10後/10前/09後/09前/08後/08前/07後/07前/06後/06前/05後/05前/04後/04前/03後/03前/02後/02前/99/98/97/96

竹林日誌 10前/09後/09前/08後/08前/07秋/07夏/07春/06秋/06夏/06春/05秋/05夏/05春/04秋/ 04夏/04春/03秋/03夏/03春/02後/02前/01/99-00/「建設篇」


5月12日(木) デリー到着

先ほど、インド航空307便にてデリー到着。
飛行時間、約9時間。
しかし、インドへのフライトも何十回になるかわからぬが、こんなに楽だったのも珍しい。
空いていたのだ。
搭乗率3割くらいかな。
こうなるとエコノミーのほうがビジネスよりも楽なのだ。
というのも、肘掛けを上に跳ね上げて、胡座をかいたり、寝転んだり、好き放題にできる。
ま、インド航空はかわいそうなんだけど。

現地時間の午後5時に到着だったが、しかし、外気温、41℃。
新装なった空港ビルの外に出ると、なんだかサウナのよう。
デリーの5月は、気温的には一年で一番高いのだ。
これもインドらしくて良い。
今、ラケッシュの実家。
これからお母さんの手料理のインド飯だ。
5月16日(月) ラダックより

三日前の5月13日、ラダックの中心地レー(Leh)に到着。
高度は3500m。
空気が薄い。
デリーから一気に飛行機で飛んだので、ここ二、三日は、高地馴化の日々だ。
少し歩くと、もう息が切れる。

しかし、空の蒼さは尋常ではない。
雪を頂いた四囲の山々は例えようもなく美しい。
そしてここにはチベット系のラダック人が住んでいる。

この地に来たのはパシミナの糸と原毛を探すためだ。
そして、運良く、それを手にすることができた。
それについてはまたお話ししよう。

明朝は5時に宿を出発。
更に東、チャンタン高原を目指す。
標高4000mを越えるその高地では、遊牧民がパシミナ山羊を養っているという。
いったいそこで人々と動物たちはどんな生活を営んでいるのだろう。

右写真は昨日、レー郊外で撮ったもの。
5月19日(木) パシミナ山羊

右写真は、昨日の朝。
場所はラダック東部、チャンタン高原。
標高4530mの湖畔にある遊牧民の村。

僧たちの小屋に泊めてもらった私たちは、高山病に苦しみながらも、朝6時過ぎに起床。
冷涼な空気の中、パシミナ山羊たちの様子を見に行く。
村人たちは既に活動を始めている。
レイナを梳(す)き取っている村人の姿も。
パシミナのことをここラダックではレイナと呼ぶ。
ちょうど5月と6月がレイナ梳き取りのシーズンだ。

朝の7時頃、パシミナ山羊たちは、それぞれの群ごと、高原のあちこちに散っていく。
山羊たちに交じって、羊や、大柄なヤクたちの群れも走り回っている。
右写真はパシミナ山羊と真木千秋。
山羊は思いのほか人なつこい。
詳しくはこれから掲載予定のパシミナを求めてにて。
5月28日(土) ウールの服地

現在、ヒマラヤ山麓のganga工房。
5月末といえば一年でも一番暑い季節だ。
標高はデリーよりも高いが、それでも今20:50現在、室温は30℃を超える。

三日ほど前に大嵐が襲来。方々で木々が薙ぎ倒され、送電もストップ。
さきほどやっと電気が回復する。
インドは停電が日常茶飯事で仕事にも差し障るので、この機に、大枚はたいてジェネレーター(灯油発電器)を購入。
どこの国でも電気の問題はタイヘンだ。

写真は織り上がったばかりの布をテラスに広げる真木千秋。
織師マンガルの手によるヒマラヤウールの生地だ。
手法は折り返し織り。
服になるので、色のコントラストを控え目にしている。
秋冬のショートとロングのジャケットになる予定。
しかし、あまりの暑さに、「もうこの時期のインドは御免」と言っている。
(それでも首都デリーに比べるとかなりマシ)
(10日前の写真と好対照↓)
5月30日(月) インドの青い実

一昨日の夕刻、田舎道を通りかかったところ、ジャングルに散在する赤と紺のツートンカラー。
クサギだ!!
赤い星形の萼に、紺の丸い実がついている。
インドにもクサギがあるなんて、ちょっと意外。
しかも、5月の末だ。
日本だと結実するのは秋も10月。

藍と並んで青を染める貴重な染材だ。
五日市にもあちこちに自生するので、秋になるとよく採取に出かけたものだ。
堅牢度は藍に劣るが、染め重ねても色が濁らないという特色がある。
ただ最近では、めぼしいクサギの木の実は、私たちが採取する前に消え去ってしまう。
草木染め人口が増えたのだろう。
それはそれで結構なことだ。

昨日は季節外れの激しい雨が何度か降り、落果してしまうのではないかと気を揉んだ真木千秋。
満を持して今朝7時に男たち5名を引き具して件のジャングルに向かう。
「象が出ないという保証はない」という地元民の言葉もものかは、先頭に立って繁みに分け入りクサギ採取に興じる。
6人もいたので30分ほどでけっこうな収穫。
五日市ではなかなかこういうわけにはいかない。
「こんど来たらもう無かったりして」とはラケッシュの言だが、インドでもそんなふうになるのか!?

6月2日(木) パシムガ

ラダックから背負ってきたパシミナのフリース(加工した原毛)。
二日ほど前、織師マンガルに試しに紡いでもらった。
「なかなか良いパシミナだ」とマンガル。良い糸が紡げそうだ。
しかし彼もいろいろ忙しい。

そこでヒマラヤの山村から強力な助っ人を招聘。
マンガルの奥さんバギラティだ。この人は紡ぎの専門家だから、マンガルより上手だという。
通常は羊毛を紡いでいるが、パシミナ紡ぎの経験もある。

確かに手際よくパシミナ糸を紡いでいく。
いとも簡単そうに紡ぐので、もしかしたら私(ぱるば)にも紡げるんじゃないかと思ったが、「そんなの無理」と言下に否定される(真木千秋に)。
左手にフリースを持って、右手でならしながら紡いでいく。
フリースの保温効果か、パシミナを紡いでいると左腕全体が温かくなるという。(上写真)
タテ糸に使えるよう、撚りを強めに紡いでもらう。極細のデリケートな繊維なので、強く撚りをかけないと切れてしまうのだ。

紡ぐのが好きかと聞くと、これが私たちの畑だから、との答え。元々の居住地であるハーシル村(標高2千5百超)には満足な耕作地も無いのだろう。でも嫌いな人はやはり紡がないのだそうだ。

上写真の奥にいるのが旦那のマンガル。
二人は恋愛結婚なのかとラケッシュが聞いたところ、アレンジ結婚だという。マンガルは自分が婚約したことすら知らなかった。数ヶ月にわたる牧羊の旅から戻ってきたところ、「これがお前のかみさんだ」と親から言い渡されたのだそうだ。先日長女に子供が産まれ、祖父母になった二人である。

さて、紡ぎたてのパシミナ糸を使って、タテ糸を作る真木千秋。
まずは、ムガシルクと合わせてみる。(写真中…下の金属ボウルに入っているのがムガ蚕糸)
パシミナと言えばウールの最高峰、ムガと言えばシルクの最高峰。どちらも手紡ぎ/手引きの糸だ。
最高峰の手作り糸どうしを使った手織りというのは、おそらく史上初の試みではあるまいか。

ただ、この組み合わせのタテ糸かけは、Maki史上稀に見る難行苦行だった。
強撚のパシミナがムガ絹糸にからみついて、作業がなかなかはかどらない。
この辺のパシミナ糸の扱い方が工夫のポイントだろう。
さてどんな織物ができるか楽しみだ。

 





6月3日(金) インド藍建て

インディゴの国インディアでも、天然藍生産がすっかり廃れていることは以前にも書いたとおりだ。
現在インド国内で使用されている藍は、ほとんど西洋から輸入される合成藍。
ま、藍としての成分は植物由来も石油由来も同じなんだけどね。
しかし、できることなら、インドの大地に育つインド藍を使いたい。

天然のインド藍は、わずかながら今でも手に入る。
ただその藍も、ほとんどの場合、苛性ソーダとハイドロ(亜ジチオン酸ナトリウム)を使った化学建てで染められる。
ここインドでも、天然藍を天然建てしているところは、私の知る限り、南インドの某スペイン人染織家と、北インドの某ラダック人染織家くらいだ。
スペイン人はある種の種子を用い、ラダック人は牛尿を使ってインド藍を建てていた。

藍建てというのは、簡単に言うと、色素インディゴを水に溶かすことだ。
水に溶けないと色素は繊維に染着しない。
インディゴを溶かすには、インディゴを還元する必要がある。
インディゴ還元のためには、伝統的に、尿や細菌が使われてきた。
日本の藍建ては細菌(還元菌)を使う。
細菌は生き物だから、衣食、すなわち適切な環境と、養分が必要だ。
環境とは温度とpH(アルカリ度)、そして養分は糖分だ。

先日、沖縄西表の紅露工房にインド藍を持参し、藍建てを習ってきた。
それをもとに、今回ganga工房で藍建てに挑戦。
インド藍は去年、南インド・タミルナド州の生産者、アンバラガン氏から買ったものだ。

まず、インド藍の粉末を水に入れ撹拌し、灰汁を適宜に注入。
それから養分として酒を入れる。(写真1)。私たちがかつて蓼藍で藍建てをした時は日本酒を使用。沖縄では泡盛を使う。今回は地元のサトウキビ酒を使用。ただ入手困難で量が少ない。それでラケッシュ父のウィスキーも加える。泡盛も蒸留酒だからたぶん大丈夫だろう。

更にジャグリ(サトウキビ搾汁を固めたもの)を入れる。(写真2)。養分としては黒砂糖が最適と西表で習った。ジャグリは地元産で価格も安いから便利。
それから石灰を投入し、pHを10.8くらいにする。液温は30℃くらいが最適とされる。

環境、すなわち液温とpHは温度計と試験紙があるから把握は可能だ。
しかし栄養については勘に頼るほかない。
それに、肝腎の還元菌はどこに居るんだろう??
5月30日、夜の作業であった。

こんなんで大丈夫だろうかと半信半疑で一夜が明ける。
約12時間後の5月31日朝、藍液を撹拌してみると、なんか見覚えある泡が。
藍の華に似ている。(写真3)
匂いを嗅いでみると、ジャグリの甘い香りの中にほのかな発酵臭が。
もしかして、建ったのかも!?

続く6月1日、2日とも、天候不順で気温が上がらず、液温は30℃をかなり下回る。生化学変化も滞ることだろう。それでも日ごとに藍建ては進行しているように見える。
写真4は昨6月2日、試しに木綿とウールの糸を浸けてみたところ。まだ淡色ながらしっかり青く染まっている。
はたして還元菌はインド藍の中にいたのか、それとも空気中?

週明けから最高気温が38℃くらいになるようだから、液温変動を軽減するため、ポリ容器を3分の2ほど土中に埋めることにする。
ホントは陶製の甕を使いたいんだが、インドにはなかなか良いのが見つからない。

 

写真1


写真2


写真3


写真4

6月6日(月) インド藍・初染め by まきちあき

昨日初染めしました。
綿はかなりよく染まります。
もともと今回はウールを染めるという目的があります。
難しいウールですが、一番に染めてみました。
綿や絹のようなぱっと鮮やかな色にはなりませんでしたが、
ウールならではのやさしい色に染まりました。


   
一回目。   二回目の染め。   二回染めて干したところ。
洗いは一回水にくぐらしただけ。
気温も水温も藍には快適なようです。
人間にはそうとう暑いですが。

6月10日(金) なみだなみだ by まきちあき


考えられないような柔らかいパシミナできあがりました。
人々の長年の暮らしの中の知恵と工夫の結晶というか、なんというか。
わたしはただ感無量。
そしてニマニマです。
ヨダレー。
早くみんなに触ってもらいたい。

全て手紡ぎで、そのうち90%が、ganga手紡ぎです。
仕上げかたがミソです。。ちあき

6月16日(木) パシミナショールと「残念なお知らせ」

真木千秋、三日前の13日に無事帰国。
ラケッシュは引き続きganga工房にて織物作りの日々。
今日ご紹介の写真は、昨日ラケッシュから送られてきたものだ。

先日(6月2日)、最強のウール(パシミナ)と最強のシルク(ムガ絹)を合わせた織物づくりをお伝えした。
その裏には実は、ひとつ危惧があった。
あまりにも繊細な素材であるパシミナだけで、果たして織れるだろうか?

その後、織師マンガルと検討の結果、パシミナ100%で織ってみようということになる。
糸の撚り方を工夫すれば織れるだろうとのこと。
幸い、工房には先日からウール紡ぎの専門家、バギラティが加わる。マンガルの奥さんだ。
バギラティはタテ糸用に、強く撚りをかけてパシミナ糸を紡ぐ。(写真右上)
こんなに強撚にしてパシミナのソフトさが殺がれないだろうかと、真木千秋はちょっと心配。

それを機にかけてマンガルが織り始める。(写真右下)



↑これが機の上の状態。
ツートンカラーの折り返し織りだ。

そして仕上げ方に秘密があった。
濡らした状態で棒を使って容赦なく叩くのである。
かくして、今までにない柔らかなショールが出来上がった。

ところで、ラケッシュから「ひとつ残念なお知らせ」が来る。
ganga工房のあるデラドンでは、今まさに特産であるライチ(茘枝)が旬なのだそうだ。
残念、逃した!!

 

6月20日(月) 繭が来た 2011

今年も近所の長田養蚕から春繭が届く。
八王子の長田誠一・晶のカップルだ。
上写真が夫の誠一氏。
クールビズのサンタクロースみたいな登場だ。
40歳になったそうだが、いつも明るい青年である。
できたての繭、10kgを持って来てくれた。
今年は天候が冷涼で、上簇(繭づくり)も遅かったそうだ。

この繭は、春嶺鐘月という品種。
スゴい名前だ。しゅんれいしょうげつ。
春嶺と鐘月という品種をかけあわせたもので、鐘紡(カネボウ)で開発されたのでその名がある。
長田家ではもう二十年もこれを育てているそうだ。

面白いことに、長田家でこれを飼育すると一化性なのだが、小学生が飼育すると多化性になるという。
一化性というのは、一年に一度だけ孵化するということ。
長田家でこの春繭を育てると蛾が羽化し、交尾して卵を産む。その卵は休眠して、孵化するのは来年の春。それで一化性だ。
ところが、同じ繭をとある小学生が育てたところ、羽化し産卵した卵がすぐに孵化し、そこから育った蚕が繭を作り羽化して産卵し、それがまた年内に孵化したそうだ。つまり年に三回孵化したということで、多化性。

かつてこの辺の養蚕農家は、年に5回、養蚕の作業をしたという。
春(収穫6月)、春2(同7月),夏(同8月)、晩秋(同9月)、晩々(同10月)。
9月のを晩秋というのも妙だが、ともあれ、春から秋まで、毎月やっていたわけだ。家によっては6回やったりもする。
これは別に蚕が多化性だったためではなく、蚕種屋が孵化の時期を調整して販売したからだ。

八王子で今年、春養蚕をやったのは、長田家を含め2軒のみ。東京都内では他に町田など、5軒ほどだということ。
貴重な地元繭だ。
長田家の繭製品は、道の駅・八王子滝山でも購入できる。中央道を使って当スタジオにおいでの節は立ち寄ってごらんになると良い。

 






6月21日(火) 『住む』2011夏号に登場

本日発売の雑誌『住む』。
文字通り衣食住の「住」に関する季刊誌だ。
夏号の特集は「自然の恵み、手の力」

注目は、106ページ以下。
インド、ヒマラヤ山麓のganga工房について、23ページにわたって特集記事が掲載されている。

記事のタイトルは「手仕事の源流を訪ねて」。
ganga工房の成り立ちや働く人々、その源流となるヒマラヤ山村の暮らし、糸素材や織物作品などが、オールカラー写真入りで紹介されている。

記者は、当スタジオ・キュレーターの石田紀佳。(下写真右の人物)
今年1月、私たちと一緒にインドに赴き、一週間にわたって寝起きを共にして取材したものだ。
真木千秋や私ぱるばとはまた違った視点から、ganga工房が描かれている。

これはみなさん、ぜひ手にとって読んでいただきたい。
それ以外の記事もなかなかに興味深い。
泰文館 定価1200円
竹林shopでも販売。

 






6月22日(水) 春繭座繰り


おととい、八王子の長田養蚕からやってきた春繭。
さっそく今日から糸引きの作業だ。
もともと上州群馬から習ってきた引き方、座繰り(ざぐり)。
当スタジオ秘伝の方法で繭を処理し、糸を引く。
左後方ではカセ上げしている。引いた糸を糸カセにする作業だ。
春の生繭から引く糸がいちばん美しい。

昨年はラケッシュが中心となって糸を引き、秘伝を学ぶ。
それをインドに持ち帰り、ganga工房に伝える。
ついでに座繰り機とカセ上げ機もインドに持って行ってしまったので、今回、両機を新調する。
これも群馬で作られているものだが、なかなか快調。
生繭の糸引きはここ十日間ほどが勝負だ。

いつも座繰り糸を分けてもらっている群馬の糸繭商がある。
さきほど電話で話したところ、今日、前橋は36℃だそうだ。
その糸繭商氏いはく「春繭の糸はキレイすぎて味がない。それでウチは古い繭を混ぜて糸を作るんです」
なるほど…。
しかし、味のある糸はインドにいくらでもあるから、Makiではひたすらキレイな糸を引くのである。

 

6月28日(火) クールビズ

夏を迎え、電力不足の折、各地で「クールビズ」の試みがなされている。
「ウルトラ・クールビズ」と称して、ランニングや短パン、サンダル履きを許している企業もあるという。
冷房の完備されていない当スタジオでは、そんなの当たり前だ。
私なぞ盛夏には腰巻で出勤して接客に当たったりする。

日本の夏の伝統的クールビズといえば、男だったら、褌一丁。
潔いではないか。
かつては褌一丁で過ごすことは、何ら恥ずべきことではなかった。
そればかりか、神聖ですらあった。
褌一丁で執り行われる神事が各地に残っているではないか。
職場だってそうだ。
戦前、炭鉱では、男は褌一丁、女も上半身裸で採炭に励んだものだ。

だいたい、熱帯地方に比肩する高温多湿の我が国の夏において、冷涼な西欧みたいな格好をするのは、精神的植民地主義以外の何物でもない。
当然、暑苦しいから冷房をガンガン回して、挙げ句の果てが、今回の原発大事故だ。
もちろん、冷房による内外の温度差は健康にも悪い。
それゆえ、節電をして薄着することは、身体や地球の健康の上にも必須のことだ。

地球温暖化の折、日本の風土に根ざした服装を考えるべきだ。
ウルトラ・クールビズなんてまだ甘い。
少なくとも男は褌一丁で過ごせるような社会に戻したほうがいい。
ハワイ・カメハメハ大王の勇姿を見よ!
6月29日(水) 節電

本日、最高気温34℃を記録したここ五日市の竹林 。
十人出勤したが、みんな冷房をつけず仕事に励む。
節電意識が徹底しているのか、冷房が嫌いなのか。
ケヤキの大木のおかげで涼しいということもある。

しかし、さすがに店はそういうわけにいかない。
ケヤキもそこまでは蔽ってくれない。
温度を31℃に設定して弱運転したら、ひんやり気持ち良かった。

shop二階の天井には天窓があって、陽が差しこむ。
冷房効果の阻害要因だ。
夏になるといつも屋根に上がって、天窓をすだれで蔽う。
今年は節電のため、すだれを二重にしてみた。
その分、外光が遮断され、二階が薄暗くなる。
防熱か採光か。悩むところだ。

ともあれ、この暑い夏、なんとかみんなで乗り切らねば。
さもないと、それみたことかとまた原発に走らないとも限らない。
暑い夏も、また良き哉。
竹林shopも、節電に励みながら、みなさんが見えられた時には、せめて涼しく、明るくするつもり。
7月2日(土) 竹林shopで涼む法

昨日はチンディ・ボイル展の初日。
三十度を超える暑さの中、諸方からご来店いただき感謝に絶えなき次第。
弊店スタッフも冷たい麦茶をお出しするなど、日頃のご厚情に報いんと奮励努力するのであった。

ところで、昨日は電力使用制限令初日。東電管内も平年比15%の節電が達成できた由、慶賀の至りである。
弊店でも先日の日誌に書いたごとく、微力ながら国家の大事に対処せんとご協力つかまつっている次第だ。
日中いちばん電気を消費するのがエアコンなので、その設定がポイントとなる。

ただ、昨日気づいたんだけれども、弊店のエアコン設定にはひとつ難点がある。
お客さんには二種類あるということだ。
すなわち、徒歩の人と、クルマの人。

徒歩の人は、JR武蔵五日市駅から約800m歩いてくる。
特に最後は少々上り坂になり、けっこう運動になっておススメなのだが、体温も上昇する。
クルマの人は、言うまでもなく、カーエアコンで涼しくご到来だ。
この両者が入店すると、体感気温に大きな差が出る。
弊店では昨日、エアコンを28℃に設定してみたが、それでも徒歩の人には暑く感じられるらしい。
さりとてそれ以下に設定すると、電力消費は従来とあまり変わらなくなるし、クルマの人には寒く感じられるかもしれない。
さてこのジレンマをどう解決するか。

ひとつ、良い方法を考えついた。
徒歩の人がご来店になったら、一時的にエアコンの風量を上げて、その下に立ってもらうのだ。
言うなればスポット冷却。
しばらく涼風の中にたたずみ、冷茶など上がって頂けば、ほどなく汗も引くであろう。

弊店には1階と2階にエアコンがあるが、人体実験の結果、2階のエアコンのほうがスポット冷却効果の高いことが判明。
特に暑がりの人は、まず2階に上がられると良い。
2階は眺めが良いし、人も少ないニッチな空間なので、竹林のたたずまいを楽しむには絶好の場所だ。
7月7日(木) 禁断の小径

JR武蔵五日市駅から竹林shopまで約1km。
みなさんは通常、秋川街道を歩いてこられる。
拙HPのshopアクセスでもそのようにご案内申し上げている。

しかしながら、それよりも良い道があるのだ。
名づけて「禁断の小径(こみち)」。
なぜ禁断かというと、よっぽどのプロしか知らないからだ。

秋川の土手を歩く。
緑の草の上、眺めは良いし、川風が気持ち良い。
距離も秋川街道経由とそれほど違わない。

ただ、禁断だけあって、ちょっとやそっとじゃわからない。
どうしても歩いてみたいという人は、shopからの帰りに辿ってみるといい。
店スタッフもしくは私ぱるばがご案内申し上げるであろう。
(写真は店からの帰り道)
 

7月11日(月) 梅雨明けの日々

一昨日、関東地方の梅雨が明ける。
平年より十日ほど早い。
以来、空は晴れ渡り、カンカン照りだ。
気温は高いが、カラッとしていて、畑に出ても気持ち良い。

梅雨が明けると、ここアトリエでもちょっとした作業が始まる。
湿気を追い出し、糸や布の虫干しをする。
アトリエというのは竹林スタジオの上流、5kmほどのところにあるデザイン室だ。(非公開)

ただ、今年は、とある事情により、十年ぶりくらいの大整理だ。
あちこちの箱や戸棚から現れる糸や布、いろんな道具類…
こんなにあったのかと不思議なくらいだ。
真木千秋とラケッシュが汗だくで奮闘。
面白いから写真でお伝えしようかと思ったが、真木千秋に断られる。

三週間後から、「Makiの8月」が始まる。(8/3〜)
別名「ガラクタ市」。
ちょうど良いから並べよう。
布類は来年のハギレ市だ。
ただ、整理するスタッフがタイヘンそう。

そこで一句:
梅雨明けてのっと出てくる布と糸

7月13日(水) インドの婚礼

先日訪れた、インド北部のラダック
パシミナ原毛の産地だ。
そのパシミナ素材を私たちに届けてくれるのが、ナワンという名の若いウール商。
もともとパシミナ協同組合の職員だったが、数年前に独立し、今は中心地レー(Leh)のバザール内に小さな店を構えている。
30歳前後の好青年だ。

おとといナワン宛てにメールを送り、パシミナウールの納期を尋ねた。
すると昨日、返信が来ていはく —

ここ二週間ほど、すごく忙しかったんです。というのも、両親に結婚を迫られて — 。それで7月4日に結婚しました。相手は皆さんが店で会った娘です。

そして写真が添付されていた。(上写真)
ナワンの店には何度か足を運んだが、最終日に店にいたかわいらしい娘が今回の嫁だ。
同じ村の出身で、婚約しているという話だった。
結婚は来年だということで、そのときは見物に行こうと思っていたのに、残念!!

二人とも「インド人」ではあるが、チベット系のラダック人だ。
その容貌はインド人より私たちに近い。
装束もラダック伝統のものだ。
嫁の顔の両側にある黒色の部分は黒い子羊の毛皮、ケープの内側は白羊の毛皮。頭上にはトルコ石。牧畜民の婚礼衣裳だ。

下写真は、アーリア系インド人の結婚式。
じつはコレ、昨年三月、シッダルタの婚礼だ。
シッダルタというのは、Makiのパートナーであるニルーの息子。
式はデリーだったが、私たちは日本から三人で駆けつけた。
相手のサクシ嬢は高校の同級生。
新郎はターバン、新婦はサリー、花でいっぱい。
典型的・北インドの結婚式だ。

これが南インドになると、新郎は上半身裸で下はドーティ(布を巻く)。
もっと花でいっぱい。
いかにも南国チック。
この写真は友人の娘の結婚式。

インドは広い。
さて、パシミナウールはちゃんと届くか!?

 






7月15日(金) 禁断の野菜

先日(7/7)の本欄で、禁断の小径をご紹介した。
ウチのスタッフも竹林の行き帰りにはこの道を利用しているようである。
「そのすぐ脇に野菜の売店があるんですよ」と大村恭子。
さすが主婦(いちおう)、目のつけ所が違う。
今朝も通勤時に、図師潤子とともにキュウリを一袋ずつ買ったそうだ。

竹林から徒歩一分。
昼飯のお菜にと、もう一度訪ねてみる。
タマネギとモロッコインゲン、シシトウと青トウガラシ、ナス二種がある。
いずれも一袋百円。
ナスはだいたい相場だが、モロッコとシシトウは安いかな、というのが主婦の感想。
いずれにせよ、朝どりで新鮮なのが良い。
小振りのタマネギはそのまま茹でられて便利だとか。
ウワサによると、これを出しているのは元スタッフ濱野香のおじさんだという。
写真はモロッコとシシトウを買う大村恭子。
 

7月18日(月) 節備投資

国民的課題である節電。
竹林母屋は冷房なしで頑張っているが、問題はshop。
照明と冷房でかなりの電力を消費している。

特に難しいのは、照明。
shopでは青山時代から、ずっと白熱灯を使用している。
白熱灯は演色性が高い。
演色とは、言ってみれば、自然な色合い。
弊店の雰囲気には一番マッチするのだ。
しかしながら、ご存知の通り、消費電力が多く、また発熱量も大きい。
盛大に点灯すると、そのぶん冷房も必要となり、地球環境にはあまり宜しくない。

最近のLED電球は、演色性もかなり向上しているようだ。
そこで、既存の設備を活かしながら、順次、LED化を考える。
しかし、LEDなら何でも良いというわけにはいかない。
同じ「電球色」と言っても、メーカーによって微妙に色合いが違うのだ。
今のところ東芝のLDA9Lが良いかな。チト高価だが。
それから電灯自体のデザインもある。
白熱灯は歴史も長いし、構造も簡単だから、洒落たものが多い。
LED電球は寿命がやたら長い(4万時間!?)から、下手なのを買って一生つきあわされるのも困る。

ただ、あまり贅沢も言っていられまい。
時代の要請だ。
照明方法も考えつつ、とりあえず、shop一階の電灯を交換する。
消費電力800Wが75Wになる計算だ。
十分の一以下。
多少は社会貢献になるか!?

ところで、NHKのニュースを見たら、男のアナウンサーがぜんぜんクールビズしていない。
そこでNHKに電話して聞いてみた。
いはく、「生命に関わるニュースも放送しているので、ネクタイと背広を着用している」とのこと。
スタジオ内はさぞ寒いのであろう。
やたらに冷房しまくるから生命に関わるのじゃないのか。
来年あたり、MakiでNHKの男子用に、生命に関わらないような衣を作ってやるか。

7月21日(木) 灰テク

台風6号の雨上がり。近所の瀬音の湯にでかける。
別に湯治ではない。木灰をもらいに行ったのだ。
瀬音の湯では、源泉加温のため、木材を使う。
当あきる野市は林業が盛んなので、市内の製材所などから端材を集め、それを燃料にする。
再生可能エネルギーだから、まあ、比較的エコなのだ。(通常の温泉では石油を使う)
木を燃やせば、当然、灰が出る。

木灰を何に使うのか。
インド土産だ。
インドのganga工房で、今春から藍の灰汁発酵建てを始めたのだ。
灰汁を得るためには多量の木灰が必要だが、その入手がけっこう難しい。
おとなり青梅にある藍工房・壺草苑では、鰹節工場から灰をもらってきているという。
インドには鰹節工場もないし、なかなか灰を集めるのが難儀なのだ。(火葬場ならあるが)
というわけで、瀬音の湯からもらってきたというわけ。

しかし、わざわざインドまで灰を運ぶってのも妙な話だ。
もうちょっと効率良いテクニックを考える必要があろう。
写真は軽トラに積んできた灰。

 

7月22日(金) インド人もびっくり

本年10月1日は竹林shop開店5周年。
元来お祭好きのMakiとその周辺は、また良からぬコトを企んでいる次第である。
今回はなんと、知る人ぞ知る三軒茶屋トコロカフェを巻き込んで挙行!
トコロカフェの上村夫妻も早々にヤル気満々だ。
台風でヒマだったのを幸い(?)に、新作スウィーツ二点を引っ提げて本日来竹。

写真はマンゴー・ジェラート。
インド産マンゴーピューレを使用したクリーミーな氷菓だ。
私ぱるばはマンゴーに関してはチトうるさいんだが、これはイケる。
まるでインドマンゴー最高のアルフォンゾ種を食べているような風味。
竹林カフェのシェフ、ラケッシュが試食に及んだところ、「こんなに美味しいマンゴーアイスは初めて!」とびっくり。
これで試作品というのだから先が思いやられる。

今日はもうひとつ、マンゴー・チーズケーキも。
これはまたの機会にお伝えしよう。
そのほか、竹林5周年には驚くべきことがいろいろ。
9月30日から10月4日まで。カレンダーに丸印を!

 

7月26日(火) 暑中のウールジャケット

台風の通過以来、割合しのぎやすい日々の続く五日市スタジオ。
今日も曇りで、最高気温は30℃。
相変わらず冷房なしの仕事場だ。

ラケッシュは既に先週土曜からインド。
真木千秋も今週末からインド出張を控え、大忙しの日々である。

今日はパタンナーの田村朋子さんを迎え、ウールジャケット製作の打合せをする。
今春ganga工房で織り上げたウール生地で、秋冬用のジャケットを作るのだ。
スタジオの一室に生地を広げて、布の取り方を考える。

写真右端には出来上がったサンプルジャケット。
この暑い中、私も何度か試着させられる。
基本的にレディースだが、体型によっては旦那も共用できそう。
今までのMakiには無い着心地だ。
この他に、フード付きなど、全部で四型できる。
請うご期待!!

 

7月30日(土) CC5

なんか戻り梅雨のような天気であるが、皆様におかれてはご健勝のことであろうか。
さて、青山時代からおつきあいの諸嬢諸氏ならご存知かと思われるが、かつてAA7なるイベントがあった。
これは2003年、今はなき青山店開店七周年を記念する催しだった。
Aoyama Anniversary 7、略して「エーエーセブン」。
なかなか語呂が良い。

本年10月1日は竹林shop五周年。
そこで今回は、CC5。
何の略かと言うと、Ciao Cikrin 5。
前回は英語だったんで、今度はイタリア語だ。
なんでイタリア語かと言うと、そこには浅からぬ因縁があるのである。
すなわち、五周年スペシャルカフェメニューに、「マンゴー・ジェラート」とか「パシミナ・ラテ(まだ秘密)」とかあるんだが、これらはイタリア語なのだ。
というわけで、チャオ・チクリン・5。略してCC5。
英語的に発音するとどっかの清涼飲料みたいだから、イタリア語で行くと;
チーチーチンクェ。
見事に頭韻を踏んでいる。
ついでにデザイナーもチアキだし。
今そのチアキは成田空港だ。インドへ向かう途上である。

8月3日(水) Makiの饕餮文

今日は「8月展」初日。
皆さんがいろいろ掘り出している最中、母屋二階ではパタンナーの田村朋子さんが布を切り出している。

写真の右側がウールの生地。
折り返し織りという技法を使った、長さ4mほどの多色柄だ。
左側がそこから裁断したパーツ。
何となく古代中国の饕餮文(とうてつもん)を思わせる。
全(まった)き布にバッサリとハサミを入れるんだから、ひたぶるに神聖な作業なのである。
これでロングジャケット二着分。

単色の生地だったら楽だが、このような生地の場合、柄を狙って裁断するので、相応のセンスが必要だ。
パーツ色の組み合わせによって、出来上がりもいろいろ楽しめる。
カジュアル、ナチュラル、大人っぽい…など。
田村さんが自ら縫製する。
今冬も節電の冬になるらしいから、「ウォームビズ」に好適。
使わないハギレからは、バッグや帽子ができるという。


 

8月9日(火) ラダックの羊毛

すっかり真夏に戻った竹林。
今日は気温34℃まで上昇したが、私ぱるばを含め本日のスタッフ5名、扇風機だけで健気に労働に勤しむのであった。(東北地方に少しでも余剰電力を送るべく…)

現在、真木千秋、ラケッシュおよびスタッフ1名、北インドのganga工房で仕事中。
あちらは基本的に雨期なので、気温もこちらより低いようである。
そんな工房に昨日、インド北端ラダックよりウールが届く。
当地のウール商ナワンからだ。
これはパシミナ山羊ではなくて、羊のウール。
黒(濃茶)と白、各1kg。

ラダックのチャンタン高原では、パシミナ山羊ばかりでなく、羊も遊牧される。
というより、伝統的には、衣料用繊維材料として、パシミナ山羊より羊の方が重要だったのだ。
遊牧民自身の衣服用、そして交易用として、羊毛は最重要の産品だった。
今でこそパシミナの高騰により山羊の数の方が多いが、羊も引き続き重要な家畜なのである。

畜群の中で、山羊と羊は仲良く共存している。
チャンタンギ羊と呼ばれる伝統的なチベット種だ。
下写真、左手前の二頭がその羊。
この写真をザッと見渡すと、山羊より羊の方が多い。
その見分け方は;
・角が下に巻いている。
・鼻筋が長く、やや上に盛り上がっている。
・体毛がカールしてモコモコしている。
こちらのパシミナ山羊写真と見比べればよくわかる。

さて、ラダックの羊毛、どんな毛糸となるのであろうか!?

 




 



8月11日(木) お盆の営業予定

今夏最高の気温が予想される今日。
竹林でも午後1時現在35℃。
にもかかわらず、相変わらず冷房を入れない竹林オフィスである。
別に経営者の指示ではない。
私は冷房が入っても苦しゅうないのだが、みんな嫌いみたいだ。
それぞれしっかりクールビズしてるし。

そもそも、南国インドはクールビズの本場なのだから、それに倣えばいいのだ。
ただし、最近のインド都市住民は堕落してるからダメ。
農民を参考にすると良い。
例えば私みたいに。(写真)
下はカディ布(手紡ぎ手織り木綿)の腰巻(ルンギ)、上はズバリ農民シャツ(木綿)。ともに10年ほど前、藍で染めたものだ。
ルンギというのは単なる一枚布だが、たくし上げれば短パンにもなるし、なかなか便利である。
沖縄のクバ団扇で涼味満点。
男たちが皆これに倣えば、脱原発も即、可能であろう。

さて、お盆の竹林shop営業予定。
これは、普段と同じ。
月・火休み。
すなわち、15日と16日は休み。
それ以外は営業しているので、よろしく!!
さすがに「掘り出し物」は書籍くらいになったが、お買い得衣類やエリ絹糸など、随時追加している。
ときどきぱるば農園の朝どり野菜も並ぶ。

 

8月13日(土) 泥藍

現在、インドでは真木千秋以下4名のMakiスタッフが労働に勤しんでいる。
(インドは仏教の故地であるが「お盆」というものは無い)

ヒマラヤの麓ganga工房では、いろいろ面白い営みがなされている。
たとえば、泥藍(どろあい)。
日本では伝統的に蓼藍(たであい)のスクモから藍建てして染色するのが一般的だが、インドや沖縄では高温を利用して泥藍という手法で藍を抽出する。

上写真はganga工房・泥藍製作の一コマ。
この植物はインド藍だ。
昨夏、南インドの藍産地から種をもらってきて、工房の庭に蒔いたもの。
日本の蓼藍とは違って、マメ科の小灌木だ。
大きく育ったので、刈り取り、バケツに入れて水を張る。
二晩ほど置いて、ドロドロに腐敗発酵したところで、枝葉を除去する。

後に残るのは、非常に臭い液体だ。
ここでひとつ、面白い試みをする。
半発酵染めだ。
この液体の中に、ウールを入れる。
染師ディネーシュも顔を背けながらの作業だ。
写真のごとくキレイに染着する。
液もアルカリ性ではないので、繊維への影響も少ないと思われる。
この試みの前、同じインド藍の生葉で染めてみたが、染色は薄かった。

この後、液体を撹拌して酸素を送る。
すると藍の色素が酸化沈殿し、泥藍ができる。

 





8月15日(月) ザンスカールの小枝

インド北端、ラダックにザンスカールという所がある。
高山に囲まれた盆地で、かつてはひとつの王国だった。
真木千秋の憧れの地で、5月ラダックを訪ねたのも、実はザンスカールに惹かれてのことだった。
ラダックの中心地レーから片道2〜3日かかる遠隔の地。
ただ、ザンスカールにパシミナは産しないので、そのときは断念する。
車道もまだ雪に閉ざされていたし。

しかし、縁はあったようだ。
地元ガイドのY夫妻の案内で、レー近郊の染織家を訪ねた。
この染織家の使っていたのが、チュルサという染料。
ザンスカールで採れる木だという。
なかなか良い発色をしていたので、少し分けてもらった。
今年5月16日の話。

そして、先日、このチュルサで染めてみた。
上写真がそのチュルサ。
小枝なのか根っこなのか??
ウールを染めてみると、鮮やかな黄色。(写真下の左側)
更に染液に「プル」を加えて染めると朱色。(写真下の右側)

このプルというのは、バター茶(チベット茶)に入れる白色の粉末だ。
おそらく岩塩かと思われる。

更に染液に牛糞と灰汁とを加えると紫がかるという話。
牛糞というのがいかにもインド的だ。
工房で試してみたところ、遺憾ながらイマイチ上手くいかなかった。
ともあれ、楽しみな植物性染料の出現だ。

 





8月21日(日) 熱血パワー仕上げ

今シーズンからganga工房で採用したウール仕上げ法のひとつ、「熱血パワー仕上げ」。
ま、これは私が勝手に命名したのだが、上写真のごとく、とにかくパワーが必要なのだ。

織り上がったばかりの服地4メートルを、二人がかりで、1時間半にわたってぶったいたり、足踏みしたり。
成人男子にとっても、かなりのハードワークであるらしい。
しかしながら、ただ力任せにぶったたいているわけではない。
布を動かしたりひっくり返したりしながら、まんべんなく、傷めないようにたたくのだ。
その詳細についてはもうじき発行の絲通信秋号に譲るが、ともあれ布づくりは力仕事でもあるというわけ。

右側が工房主のラケッシュ、左側がその姉婿ディネッシュ。こころなしか二人とも一段と筋骨逞しくなった感じ。
あ、それから、この作業の前に、2人で4時間かけて、布の中に織り込まれた
草などを手で取り除いている。
手紡ぎ手織りウールはいろいろ手間がかかるのだ。

インド北部のここデラドンは、現在、雨期の最中。
連日、空は雨雲に蔽われている。
(その昔、お釈迦さんも諸国行脚の足を休めて一箇所に逗留した。雨安居)
気温も低めで、今の東京くらいだろうか。
(東京は三日前から前線の影響でぐっと涼しくなる)
作業は楽だが、たとえば藍建てなど、高温の必要な作業には影響が出る。

下写真はそんな中、久方ぶりの、「梅雨の晴れ間」。
南国なので、晴れれば日差しは強い。
筋骨パワーのウール生地もぐんぐん乾く。
この秋発表のウール衣もこうしてできるのである。

 





8月23日(火) 韓国健康美容食品

今、韓国旅行中。
街角でオジサンが注目すべきものを売っていたので、購入する。
塩茹でのサナギだ。
1カップ約150円。

韓国は食べ物が非常に美味しい。
特にキムチはじめ、野菜料理がすばらしい。
韓国女性の肌や髪がキレイなのもそのせいだと言われている。
そんな韓国の食品であるが、私たちの旅行ガイドを務める韓国人女性によると、「日本人はじめ外国人がいちばん嫌悪する韓国の食べ物が、蚕のサナギ」なんだそうだ。
韓国人はごく普通に食べるらしい。
四十代に入ったという我がガイドさんも美味しそうに食べている。子供の頃から弁当のおかずに入っていたりしたそうだ。
かつては映画館の周辺によく屋台が出ていて、人々は映画を観ながら食べたらしい。
非常に滋養豊かな食品だから、美容にも良いに違いない。

私ぱるばは今年の正月、故郷信州で初めて、缶詰のサナギを食した
独特の臭いがあり、あまりウマいものではない。
韓国のサナギは茹でたて。
そのせいか缶詰に比べるとかなりマシな感じだ。香ばしくさえある。
ただ、あの独特の臭いは残る。
やはり糸を取った後のサナギなのであろう。
糸を取る過程であの臭いが付くのだ。
より美味しくサナギを食するには、中国柞蚕やインドエリ蚕のように、糸を取る前にサナギを繭から取り出す必要があろう。

ともあれ、「この仕事をして13年になりますが、自分からサナギを食べると言った日本人は初めて」とガイドさんに言われた。
そういえば彼女の髪もすこぶる艶やかで美しい。
ウチでも糸を取った後、サナギをみなさんに供そうか。

 

8月27日(土) インド到着

エアインディア307便にて、さきほどインドに到着。
定刻は成田発11:30、デリー着は17:15(現地時間)の予定であった。
かつてインド航空は、エアインチキなどと呼ばれ、遅延は日常茶飯事。
半日くらい遅れてもぜんぜん平気であった。

ところが…
今朝、成田空港に到着したところ、出発時刻が11:20になっている。
10分も早く(!!)出発するというのだ。
そればかりではない。
飛行も順調で、デリー着が16:40。

更に驚くべきことに、
イミグレでひとりも待たず、わずか一分で通過。
(もちろんインドのプロとして、奥の方にある誰も並んでいない窓口を目ざとく見つけたのである)
更に驚くべきことに、
ビジネスクラスでもないのに手荷物が真っ先に出てきて、わずか一分でピックアップ。
(もちろんインドのプロとして、インド航空のマイレージカードを所持。ファーストクラスカウンターで真っ先にチェックインしたのである)

というわけで、あろうことか、デリー到着予定時刻17:15よりも前の17:08に、デリー着陸どころか、もう税関を通過して外に出ていたのだ!!
インド航空の過去を知る者としては、ありえないことだ。
まことに幸先良い。
この国も頑張っているのである。
現在、真木千秋以下4名のスタッフが、ここインドで布&衣づくりに励んでいる。
仕事もそんなふうにスムーズに行くと良いんだが…


8月28日(日) 示現流 vs 天然理心流

本日、私ぱるばと図師潤子は、デリーからデラドンへと飛ぶ。
プロペラ機で北へ一時間弱。
デラドンにはganga工房があって、真木千秋+ラケッシュ+秋田由紀子が布づくりに勤しんでいる。

今日のデラドンは晴天。
気温は32度だが、まだ雨期の最中なので湿度が高い。
そんな中、「叩きが始まりますよ〜」との声。
ウール布づくり最後の工程、「熱血パワー仕上げ」の時間だ。(8月21日の記事参照)
今日は織師ジテンドラの織り上げた4mのウール服地。
ウール仕上げのスペシャリスト・バギラティ女史とラケッシュが棒を握って叩き始める。
なかなかリズミカルで面白そうだったので、私も加わる。
薪割りか剣術のような気分だ。
図師潤子(写真右側)と秋田由紀子(写真左側)も加わる。

そういえば図師は薩摩女、秋田は多摩女だ。
薩摩と言えば示現流、多摩と言えば新撰組の天然理心流。
抜けば玉散る手織のウール。
はるか天竺の空の下、因縁の対決の行方やいかに!?
今回はやはり、多摩女に一日の長があったか。

真木千秋も含め8人がかりで叩いたので、今日は一時間で終了。
良い運動になった。
ラケッシュいはく、「僕って大金持ちに見えるだろうな。日本人を働かせて自分は何もしないで見てるんだから」
かくして比類無き風合いの布が生まれるのである。
この生地から二着のウールジャケットができる。
ちょっとプレミアつけようかな。

 

8月30日(火) パシミナ・マフラー

ここ北インドはまだ雨期であるけれども、私が来てから三日間はずっと晴れ。
晴れると日差しの強さは「沖縄以上」と、西表島在住の秋田由紀子が言う。
もともと雨期だから湿気は高め。
その分、夜の涼風が心地良い。夜行性動物の気持ちがわかる。

そんな高温多湿の日中、できあがったばかりの布を陰干しする真木千秋。
パシミナのマフラーだ。

色はツートンの折り返し織り。
白×ベージュ、あるいは、白×青の二種。
白とベージュはパシミナ山羊の天然色。
青はインド泥藍染め。

手前の三枚は小振りのマフラー。
パシミナには珍しい構造だ。
糸を何本も引き揃えて、バスケットのように織りなす。
糸の肌触りを活かすデザインだ。

いずれも9月30日から始まる「竹林shop五周年」のために織られている。
五周年だから五十余点用意する。
チャンタン高原のパシミナゆえ、とにかく柔らか。
お楽しみに!

 

 


8月31日(水) 採用試験

ここganga工房、いつもいろんな人がやってきて、まことに賑やかだ。
今朝、織師マンガルに伴われて現れたのは、マダン氏とその息子マヌージ。(上写真の右側二人)

マダン氏はテーラーだ。
ganga工房でも服の縫製作業が必要になってくるので、人を求めていたのである。
ウールの里ドンダ(マンガルの村)で長年、縫製店を営んできた人だ。
本日着用のシャツも、もちろん自分で縫製したもの。
工房で働きたいというので、さっそく課題を出し、縫ってもらう。

テーラーにも、マスターテーラーと一般テーラーの二種類ある。
一般テーラーは縫製するだけだが、マスターは生地の裁断もする。
三時間くらいかけてシャツを一枚仕上げたマダン氏。
さて、その出来やいかに!?
テーラーの試験はこれで二人目だ。
マダン氏の縫製の腕前はなかなかであるが、裁断に関してはやや問題も見られる。
まずはマスターテーラーが必要なので、残念ながら今すぐの雇用は難しいかも。

ところで、その息子マヌージの赤シャツ、これは父親の作ではない。
自分で生地を買って、別の人に縫製してもらったという。
なんで父親に頼まなかったか聞くと、どうやら「お洒落したかった」ということらしい。父親のカタチは彼にとってはやや古典的すぎるのであろう。

このマヌージ君(25歳)、じつは織師マンガルの弟子である。
織りもできるし、糸も紡げる。
工房に就職希望ということで、こちらも採用試験だ。
まずは熱血パワー仕上げ。
織師アショクの手になる8メートルのウール地、その仕上げに参加してもらう。
下写真、左端が織師アショク、中がマヌージ、右端がバギラティ(マンガル妻)。
8メートルの生地というと通常の二倍で、かなり体力が必要だ。
マヌージは経験者だけあって上手に叩いていた。
ま、しかし肝腎なのは織りの腕なんだけど。
ところで、よく聞けば、右端バギラティとマヌージは叔母・甥の関係だという。なんとなく嬉しそうなバギラティ叔母さんであった。
工房主ラケッシュの覚えも目出度く、息子に関してはおそらくここで働くことになるであろう。

ちなみに、この8メートルの巨大手織布は、きたる10月1日、竹林shop五周年イベントの入口を飾ることになる。


 




9月1日(木) W五郎の消息

9月になった。
日本ではさっそく台風襲来のようだが、ここデラドンは暑い夏日が続く。
今、17:52なのだが、気温はまだ摂氏33度。
冷房がないから天井扇風機の下で生きながらえている。

ところで、ここganga工房には五郎がふたりいる。
熊五郎と松五郎だ。
半年前はあんなに可愛い子犬たちだったのに、見よこの成長ぶり!!
鼻先から尻尾まで、1メートルくらいにはなろうか。
他人(他犬!?)だったらちょっとオソロシイくらいのサイズだ。
散歩に連れていくと、すれちがう人々が脇に寄る。
まだ生後八ヶ月くらいだから、もっと大きくなるという。

手前の黒い方が熊五郎、奥のツートンが松五郎。
たまにしか訪れない我々のこともしっかり覚えていて、手を差し出すとじゃれついてくる。
まだ幼犬だが吠え声はバスバリトンで、既に風格も感じさせる。
そもそもは牧羊犬だ。
今のところは放し飼いにしたら工房がぐちゃぐちゃになるので、基本的に鎖に繋がれている。
チトかわいそう。
W五郎が自由に走り回れるようなキャンパスが必要か。
羊つきで。


 

9月2日(金) 地獄出しの秘密

モノの本によると、まったくの天然状態から藍を建てることを「地獄出し」というのだそうだ。
そのくらい難しく、時間のかかるものらしい。

ここganga工房では、今年6月始め、インド藍を使って、あっさりと、その地獄出しに成功
その味を占めて、この8月の初旬、二度にわたって藍を仕込む。
しかしながら、気温が低めに経過したせいもあってか、なかなか藍の華が咲かない。
そこで一週間前の8月26日、更にひとつ藍を仕込む。(上写真)

この三度目の仕込みでは、その前の二度と、ひとつ趣向を変える。
酒だ。
藍建てには酒を用いるが、前の二度はウィスキーを使った。
その後、経過がはかばかしくなかったので、途中からラム酒に替えたりもした。
それでもイマイチ、ピリッと来ない。
そのうち、最初の甕が腐っていった。

6月に成功した時には、サトウキビ酒を用いた。
ただし、ここだけの話だが、この酒は公認のアルコールではない。
だからおおっぴらには売られていない。
それをラケッシュがどこからか入手。
インドに不可能の文字はない。
かくして三つ目の藍が仕込まれたのである。
三人の真剣そうな顔を見よ。左から真木千秋、ラケッシュ、染師ディネッシュ。
真木千秋の足許にあるファンタオレンジみたいのが、その禁断の酒。

そして一週間。
やはり6月みたいな派手な華は咲かない。
でも、なんとなく染まりそうだったので、本日、試染してみた。(下写真)
見よ、この、藍の炸裂を!! そして上写真と対照的な三人の顔。
モノはカディ(手織り木綿)のシャツ。
木綿と藍の、なんと相性の良いことか。

う〜ん、何か関係あるのだろうか??
ウィスキーにしろ、ラムにしろ、サトウキビ酒にしろ、蒸留酒なんだが。
この一週間はとりわけ高温だったから、そのせいじゃあるまいか。
まあ、確かに、サトウキビ酒は地元の酒だから、相性が良いのかもしれないが。
地獄の沙汰も酒次第!?

おかげで、ラケッシュ家の台所には、使われることのないウィスキーやラム酒が山をなしている。
男どもは夜な夜な酒盛りを楽しんでいるらしい。

 




9月3日(土) 妙なる交織

交織(こうしょく)というのは、異素材の糸を交ぜて織ることだ。
今日はパシミナ交織の話。

8月30日の日記にあるパシミナマフラーは、パシミナ100パーセントだ。
パシミナの柔らかな触感を余すところなく味わうには、パシミナ100パーセントが良い。
しかしながら、たとえば、スイカに塩をふれば甘みが引き立つように、パシミナを異素材と合わすと、その特質が際だつこともある。

そうした織物のひとつが、6月2日日誌のパシムガ(パシミナ+ムガ蚕糸)
金色で張りのあるムガ蚕糸とパシミナ糸の対比によって、今までにない装いと手触りのマフラーができた。

更に今回、別のシルクを使ってパシミナ交織を試みる。
真木千秋の手にしている糸は、中国柞蚕。
中国東北部に産する野蚕で、タッサーシルクの親戚筋だ。
通常、中国柞蚕糸はもっと淡い色をしているが、先日、濃色の糸が手に入ったので、日本から持参してきたのだ。
ムガ蚕と比べると輝きが穏やかで、張りも弱くて柔らかい。
白い毛糸玉は、先日ラダックから届いた手紡ぎのパシミナ糸だ。

写真右下にあるのは、ラム(子羊)ウール×絹の織物。
真木千秋が二十年近く前に手織りしたサンプルで、ウールは岩手で手紡ぎされたものだ。
ラムウールも柔らかいことで知られている。
そんな布も参考にしつつ、パシミナ×柞蚕という、あんまり聞いたことのないような交織に挑戦だ。
これらもまとめて竹林shop五周年にて発表。

 




9月4日(日) ドクター・ムガ

半年ぶりにアッサム訪問。
インドの東北部にある州だ。
詳しくはこちらを参照してほしいが、世界でも屈指の野蚕の宝庫だ。
今回は忙しくてわずか二泊の滞在。
アッサムみたいなのんびりランドには、ふさわしからぬ旅程である。

それでもレヘマンは、日曜日を一日つぶして私ぱるばにつきあってくれた。
レヘマンとはここにもある通り、アッサム州養蚕局の指導員で、前回も五日間にわたって世話してくれた男だ。

彼はつい二日前、地元ゴハティ大学からPh.Dの学位を授与された。
学位論文は「ソム樹の系統的分類」。
ソム樹というのは代表的なムガ蚕の食樹だ。そのソム樹の中で同種と考えられていた三種が、彼の研究によって、別系統であることがわかった。遺伝子の分析などによって究明したのだそうだ。それによって今後、黄金の絹・ムガ蚕の飼育もより効率的に行えるようになるであろう。
というわけで、わがレヘマンは今や、まごうことなきドクター・ムガなのだ。

ただ、今回のアッサム訪問のミッションは、ムガ蚕ではなく、エリ蚕の布だった。
州都ゴハティから西へ一時間半ほど行ったところに、我々のためエリ蚕糸を紡いでくれている婦人がいる。ディパリさんだ。レヘマンの訓練所でエリ蚕紡ぎを学んだ人。つまりレヘマンの生徒だ。
今までMaki用に特別太い糸を紡いでもらっていたが、これからしばらくは細糸を紡いでもらおうと思う。その糸を使って、エリ蚕布を織ってもらおうというわけだ。

上写真はエリ蚕糸を量っているドクター・レヘマン。
写真を拡大して見てもらいたいんだが、エリ蚕糸がベージュ色をしている。これは世界でも珍しい有色のエリ蚕糸だ。繭は州西部のコクラジャール地方特産で、なかなか手に入らない。
繭の調達も含め、みなレヘマンの骨折りのおかげだ。
休日まで返上してこういう事をしても、彼にとっては何の得にもならない。ただひたすら、養蚕局の職員として、そして指導員として、自分の教え子たちに少しでも仕事と収入を与えたいという「親心」からだ。実際、ホントに少しなのだ — 私たちが買ってあげられるのは。月にわずか5kg。

京都の某・蚕糸専門家によれば、手紡ぎのエリ蚕糸なんてホンマ珍しいそうだ。
そんな糸づくりの工程で、前回見られなかった部分を見せてもらった。
真綿づくりだ。
繭はサナギを抜いた状態で入荷するが、それをまず煮沸し(写真下・銀色の容器)、それからひとつひとつ水の中に入れて、手で軽くたたきながら広げ、せんべい状にして乾かす。
その真綿から、紡錘(スピンドル)を使って糸を紡ぐのである。〈明日に続く〉

 




9月5日(月) アッサムの村人

そもそもなぜ今回アッサムに来たかというと、エリ蚕布を織ってもらうためだ。
エリ蚕布はその独特な柔らかさとともに、「夏涼しく、冬温かい」という特性を持っている。
そんな素材でMaki衣を作りたい、という希望があるのだ。
衣には、薄手のエリ蚕布が向いている。
薄手のエリ蚕布は、ここアッサムの村で織ってもらうのが良い。
エリ蚕織りの長い伝統があるからだ。

このあたりの農村婦人はみな基本的に、糸作りも織りもできる。
Maki専属の紡ぎ手・ディパリ(昨日の記事参照)も同じだ。
ただ、より良い糸づくりのためには、紡ぎに専念してもらったほうが良い。
そこで、ドクター・レヘマンと一緒に織り手を訪ねる。

アッサムは今が雨期で、野原も田畑も青々として美しい。
ただし南国なので気温も高い。
田園とジャングルの中に静かに佇む小村に、ミヌーさんのお宅があった。
上写真左端の薄紫がそのミヌーさん。
ミヌーさんの織ったエリ蚕布は、前回に購入している。なかなか良い出来だった。
Maki用に織りをお願いするには好適であろう。

前に立っている裸のおじさんは、夫のウメッシュ氏。よく見ると左手に携帯電話を持っている。インドの遥か僻村にも電波は届くのだ。
ウメッシュ氏、ヒンディー語ができるそうなので、ウチのラケッシュとも意思疎通ができるだろう。(希望的観測)

ミヌーさんのお隣、薄オレンジのサリーが妹のディプーさんだ。
実は妹のディプーさん、この辺の婦人会の世話役で、前回のアッサム訪問の時からいろいろお世話になっている。
ところで、姉妹の衣裳の違いに注目。姉はアッサム特有のツーピース「メケラ・チャダル」、妹はインドの一般的なワンピース「サリー」だ。(いずれもブラウスはピースに数えない)

下写真は別の村の民家。
注目は床だ。たたきの土間である。
日本のたたきは石灰を混ぜて固めるが、ここアッサムでは牛糞を混ぜる。
しっとり、ひんやりして、まことに心地良い。

村では男たちはみんな半裸。下にルンギ(腰巻)。
高温多湿の夏には最適。クールビズとか唱える日本の男どもも見習うべき。見よ、彼らの美しい褐色の肌を。
おそらく女たちも昔は同様の姿だったろう。北方からアーリア系インド人が進出するにともない、この熱帯にもチャダル(上布)が現れ、近年になってブラウスが課されたものと思われる。老婆たちは今でもブラウス無しだ。
南国インドで女をするのも楽ではない。

さて、明6日、真木千秋&ラケッシュは帰国の途につく。
私ぱるばは本日デラドンのganga工房に戻り、明朝早くガンジス川を遡ってハーシル村を目指す。標高2500メートルのハーシルは、ガンジス渓谷の牧羊の中心地だ。ただ、その手前で崖崩れがあり、道路が不通との情報もある。さて無事にたどり着くか!?

 




9月6日(火) ガンガーを遡る

今日はほとんど織物に関係ない話。
昨日の予告通り、今朝6時過ぎにganga工房を発つ。
ホントはもっと早く発つつもりで、同行者たちみんなに「五時半集合」と言い渡しておいたのだ。
しかし、さすがインド人、誰もその時間には来ない。(タクシードライバーすらも)
インドで物事を進めるには、最低30分はサバを読んでおかねばならない。

今回の旅の目的は、ウールの現地調査だ。
日程は二泊三日、ないしは三泊四日。
なんで「ないし」なのかと言うと、天候によるからだ。

牧羊の一中心地ハーシルは、ganga工房から約250km。
国道94号に添ってガンジス川をひたすら遡る。
国道とはいえ、急峻な谷を削って無理やり作った道だから、かなり不安定だ。
雨期も末期になると、土砂崩れや冠水などによって道路は潰滅的な状態になる。
なんでわざわざそんな時に行くのかと言うと、今が羊の毛刈りの時期だからだ。

昨日までのアッサムと同じく、雨期だから田も畑も青々と美しい。
インドの田舎の最も美しい時期だろう。(写真上)
そもそも、インドの田舎は美しい。
街がゴミゴミしてるから、なおさらそう感じる。

今日は天候も良く、順調に行くかと思われた昼ごろ、やはり通行止めに遭遇。
崖崩れだ。
重機が入って落石を除去している。
しかし、まだ上から岩が降ってくるので、それを避けながらの作業だ。
いちおう一車線分、落石が均されると、そこを歩行者が疾駆して通り抜ける。
落石の合間をぬってだ。(写真下)
油断はできない。
私の見た最大の落石は、軽乗用車くらいの大きさだったろう。
それが道路を横切って遥か下のガンジス川に転落していく様は、じつに壮観であった。
歩行者だけではない、私たちの車も、落石の合間にガタゴト道を走り抜けるのだ。
何かあっても自己責任ということでOKらしい。
日本の国道では考えられない風景だ。
私たちが走り抜けてしばらく後、大規模な崩壊があって道路がすっかり埋まってしまった。復旧には1〜2日かかるという。(この大崩落は私が動画に収めたので機会あったらご覧に入れよう)

そんな通行止めが三箇所もあって、結局ハーシルにはたどりつけず、途中のドンダで宿を取る。
ハーシルまであと80km。
今日の夕方も豪雨があった。
果たして明日はハーシルにたどりつくか?
というか、果たして帰れるんだろうか!?


 




9月9日(金) 羊をめぐる冒険

昨夜遅く、牧羊の里、ハーシルから帰還。
6日の日誌にも書いたごとく、当初、大規模崩落に遭遇したりして、行くことはおろか戻ることができるんだろうかと心配したのだが、インド人にとってはあれくらい何でもないようで、お抱えドライバー・チョーハンは千尋の崖上に刻まれた隘路を平然と猛スピードで突進するのであった。
車窓に展開する雨期のガンジス上流の風景は、また例えようもないほど美しいものであった。
幸い好天にも恵まれ、昨日、牧羊の里ハーシルで羊の毛刈りを見ることができた。
写真はガンジス河畔で毛刈りをする若い牧夫。
Makiのウールのふるさとだ。

詳しくはこれから「牧羊の里を訪ねる」を掲載する予定なので、そちらを参照のこと。

 




9月10日(土) 風船チャパティ

本日、三谷龍二木工展「竹林でピクニック」初日。
Makiでは五年ぶり、竹林shop初の三谷展であるから、会長としては大いに気になるところである。
あいにくインドganga工房滞在中ゆえ、竹林に足を運ぶことは叶わない。
そこで開店直前からSkypeをオンにして竹林母屋のパソコンに接続。
展示会の推移をリアルタイムで参観するのであった。
右写真がそのSkype画面。
織機や網戸が邪魔になってイマイチ判然としないのだが、それなりに初日の雰囲気は伝わってくる。

そのうち朝食時間となったので工房のキッチンにパソコンごと移動。
写真左下にチャパティを掲げる私。
ラケッシュ母の焼きたてだ。
この膨らみに注目!!
こういうのがフリー(風船)チャパティと呼ばれ、珍重されるのである。

今日、竹林は真夏日のようで、セミの鳴き声が聞こえてくる。
ここデラドンは竹林よりもっと田舎なのだが、不思議なことにセミがいない。
そういえば我が天敵であるヤブ蚊(ヒトスジシマカ)もいない。
今さらながら日印間の相違を知るのである。

竹林カフェではラケッシュが久しぶりにシェフに戻り、今日はタンドーリチキンを出したらしい。(明日も出すという)
三谷展も当スタジオ初の入場整理券発行という盛況なようで、会長としてもひと安心。
あとは今夜、インド航空に乗って帰るのみだ。
(一度でいいからMakiの展示会で整理券を発行したい!?)

 




9月12日(月) 竹林カフェにて

昨日朝、成田着。
そのまま竹林に向かう。(東京都あきる野市)
三谷龍二展の二日目だったから、様子を見たかったのだ。

写真は昨日11日、竹林カフェの様子。
右から三谷氏、ラケッシュ、丹羽さん(竹林カフェ設計)、そして私。
ラケッシュが久方ぶりに厨房に戻る。
タンドールに火を入れ、タンドーリ・チキンを作っているところ。
10日,11日に「竹林でピクニック」と題し、三谷氏の器でインド料理を楽しんだのだ。
(詳しくはKさんのブログを参照)

カフェは現在、休業中である。
ラケッシュがganga工房に関わり、時間がないのだ。
しかし、今回のようなイベント時のみ、オープンする。
10日,11日はスペシャルランチだったが、今日から19日の月曜までは従来の様式で営業。
豆カレー、野菜カレー、ピクルスなどが出る。
チャイも飲める。
竹林カフェがなつかしい人はこの機会に是非どうぞ!

なお三谷作品だが、さすがに初日ほどの数はないが、そのかわり、スペシャルランチに登場した三谷氏の新作が店頭にお目見え。
黒漆のお重とか、角皿とか。
見たい人は是非どうぞ!

しかし去年もそうだったが、なんかインドより暑い日本の初秋である。

 




9月18日(日) 波照間イエロー

九月中旬の真夏日。
気温は高いが、空の色は秋の到来を告げている。

早いとこしっかり到来して欲しいんだが、三谷龍二展も残すところ今日を含めて二日間。
中庭からなにやら焚き火の床しき匂いが漂ってくる。
真木千秋が染めをしているのだ。

染材はフクギ樹皮。
数年前、日本の南端、波照間島から届いたものだ。
大型の台風で友人宅のフクギ大木が倒れ、その樹皮を多量に送ってくれた。それを今まで大事に使ってきたのだ。

黄色を染める染料はいろいろあるが、フクギの黄色はまた格別。
透明感のある、なんとなく緑がかったレモンイエローだ。
写真は左端がヒマラヤン・ウール、それ以外は竹林で引いた春繭糸。

じつはコレ、緑を染めるための下染めなのだ。
明日、その上に生葉の藍をかける予定。
朝十時から葉っぱちぎりをするので、やってみたい人はその時間までに竹林に集合!

 



 


9月19日(月) 初秋の熟藍

ある晴れた秋の真夏日。
みんなで朝から藍の生葉染め。

この藍草は私ぱるばの育てたものだ。
熱暑の六月、定植作業は大仕事であった。
それを今朝、畑で刈り取り、軽トラで竹林に運ぶ。
もう花穂が出始め、ギリギリのタイミングだ。
藍染には晴れた日が良いから、ホント、今日しかない。

藍(タデ藍)は通常、スクモの状態から藍建て(発酵)を経て染める。
そうするとお馴染みの深い藍色が染まる。
しかし、発酵を経ないで染めるやりかたもある。
生葉染めだ。
生の葉っぱを使うので、藍草の生い茂っている夏期にしかできない。

助っ人も加わり、みんなで葉っぱをちぎる。
単純な作業なので、ほとんど井戸端会議状態だ。
ちぎった葉っぱを水と一緒にミキサーで砕く。
それを綿布で濾して、青汁にする。
その青汁に糸をひたして染めるのだ。
空気で酸化させて発色するので、手際良く作業する。
マリンブルーの透明感ある青が染まる。

「今年の藍は例年より濃い目だ」と真木千秋。
通常は八月中に染めるので、今年は藍がより熟成したのか。
「熟女の藍」とは当スタジオ・キュレーター石田紀佳(上写真・右から2番目)の言葉。そういえば本日作業にあたったのは熟女主体!?
ここ十日以上晴れの連続だったのも影響しているかもしれない。

染めた糸の多くはここ竹林で引いた春繭の絹糸だ。
緑色は昨日の波照間イエローに重ねたもの。
緑を出す時には先に黄色に染める。
逆の手順でも緑は出るが、黄色の染色は加熱が必要だから、透明感が減衰するのである。

かくして染まった糸々は12月にインドに渡り、名手シャザッドの手によってストールに織り込まれることになる。

 



 


9月20日(火) ウールの予感

雨のそぼ降る夕方、パタンナーの田村朋子さん来訪。(上写真・左側)
自ら縫製した衣を届けてくれる。

ガンジス渓谷の羊毛からつくったMaki Textile Studio初のウール衣だ。
ショートジャケット、ロングジャケット、ロングベスト、合わせて四十数点。
大村恭子(上写真・右側)が試着している。
こんなふうに手仕上げされた生地だから、風合いも格別なのである。

8月3日の記事でもご紹介したが、特に「折り返し織り」という多色柄の生地は、田村さんも裁断にいろいろ苦心している。
それゆえ、同生地から縫製された衣には、一着として同じ表情のものがない。
選ぶ側もきっと苦労することであろう。

メンズのベストもある。
今日はたまたま温度がぐっと下がったので、私もさっそく試着。(写真下)
下が半袖なのでちょっと変なのだが、今までのMakiにはない着心地だ。
胴体がほっこり温まって具合良い。

9/30-10/4の竹林五周年でデビュー!!


 




9月22日(木) うたかたの夢

来週末に迫ったCC5(竹林shop五周年)
今日は三軒茶屋トコロカフェが来竹。
最後の打合せ&試飲・試食を行う。

トコロカフェの上村夫妻は、CC5の五日間、三軒茶屋の店を閉め、ここ竹林に店開きする。
もう何度も打合せに来竹しているが、今日は三軒茶屋から秘蔵のイタリア製エスプレッソマシーン「とこ郎クン」も同道。(大村恭子の前にある銀色の物体)
竹林カフェのシェフ・ラケッシュや真木千秋等も交え、CC5本番のメニューを最終確認するのであった。
 
  おそらく人類史上初となるであろう新メニューもいろいろ。
たとえば、カプチーノならぬ「チャイチーノ」。
カプチーノはエスプレッソを使うのだが、その代わりにインドのチャイを使おうというもの。
ラケッシュがアッサム茶葉を使って濃い目のマサラミルクチャイを作り(左写真)、その上に「とこ郎クン」のスチームしたミルク泡を載せる。
試行錯誤の末、今日やっと完成。
  トコロカフェは「泡」にこだわる。
これは「ヒマラヤーノ」。
豆乳ラテである。
なぜヒマラヤーノかというと、上に載った泡に、コシがあるのである。
つまり、ヒマラヤン・ウールを思わせる質感。
泡がいつまでも隆起している。はかなくない泡沫(うたかた)だ。
雪を頂くヒマラヤの嶺に見えなくもない。
  パシミナ・ラテ。
こちらの泡は、パシミナを彷彿とさせる滑らかさ。
上村氏と「とこ郎」コンビによる究極の泡沫だ。
このパシミナのみ、ランチセットの際、追加料金がかかる。(量が多い)

セットドリンクはそのほか、上記のヒマラヤーノ、ストレート珈琲(hot & ice)、加賀棒茶(hot & ice)から選べる。
  史上初のドルチェ、CC5。
これは、Cake、Cheese、5種類の略。
つまり、5種類のチーズを使ったチーズケーキというわけ。
何が史上初かというと、台にジャキア種子を配合しているから。
ジャキアというのはヒマラヤ山中に産する辛子つぶだ。
濃厚なケーキにジャキアの刺激が絶妙。
 

これも史上初のパウンドケーキ。
小豆とピスタチオを使っている。
和の素材とインドの素材。
豆とナッツのコラボが香ばしい。
ただ、これは試作品で、本番は小豆と落花生になる。
周りに砕いた落花生をまぶし、更に香ばしくなるはず。

ランチセットには以前紹介したマンゴージェラートが付き、それプラス、このパウンドケーキか上記CC5ケーキが選べる。どちらにするか、かなり悩みそう。

 

チャイ・アフォガード。
アフォガードは通常、アイスクリームの上にエスプレッソをかけるが、その代わりに濃厚なマサラチャイを使用。
紅茶好きには見逃せない一品だ。
今日は市販のアイスクリームを使ったが、本番は自家製アイスクリーム。
請うご期待!!
これは単品メニュー。

 


9月24日(土) CC5ランチ

CC5(竹林shop五周年)のランチは、竹林cafe初の「ホウレン草カレー&コーン・チャパティ」。
昨日、そのリハーサルをした。

「今回のイベントには、何かヒマラヤの山村料理がいいね」ということで、シェフのラケッシュも考えた。
今まで山の料理はいろいろ作ってきたが、ホウレン草カレー(ダプリと呼ばれる)とコーン・チャパティはまだだった。

ホウレン草カレーは、一般のインド料理店でも「パラック」という名前でお馴染みだ。クリームを多用したマイルドな料理で、私ぱるばの好物でもある。
山のホウレン草カレー「ダプリ」はちょっと違う。ターメリックやタマネギやジャキア(辛子粒)を使い、パンチが効いている。
実は今朝、ラケッシュが母親に作り方を聞いていた。デリーのホテルでは出さない料理なのだ。

それから今回、インドからトウモロコシ粉を背負って帰ってきた。
日本ではトウモロコシ粉にあまりお目にかからないし、やはり味も違うであろう。
つなぎにアタ(チャパティ用のインド小麦粉)を加え、練り上げ、せんべい状にしてフライパンで焼き上げる。
アツアツのところにギー(精製バター)を塗り、濃厚なダプリと一緒に食べると、その香ばしいコリコリ感がなかなか良い。滋養も豊富。山では「小麦のチャパティより力がつく」と言われている。
本番ではフライパンではなくタンドールの炭火で焼くから、更に風味も増すであろう。これにサラダなどが付く。

ランチセットだと、これにトコロカフェのマンゴーアイスとケーキ+飲み物がつく(前日の日誌参照)わけだから、そうとうスゴい。
ランチタイムは昼12時から3時まで。予約不要。

 



9月25日(日) 山の賜物

今日は朝から自治会関係の山仕事。
CC5の準備で大わらわの私ぱるばだが、山あってのMaki Textile Studioである。
こういうこともしっかりやらねばならない。

で、山腹の草を刈り払っていると、丸太がゴソゴソと出現。
春の山仕事の際に伐採した栗の木だった。
半年ほど放置して、それなりに乾いている。
それでひらめいた。パーティの焚き火にいいかも♪

というわけで、はからずもたきぎをゲットしてしまったというわけ。
ウールといい、パシミナといい、やはり山とともに生きるMaki Textile Studioである。
あとは10月1日の夕刻、雨にならなければいいのだが…。

ところで、案内状にはパーティの開始時刻が午後7時となっていたが、午後6時に変更。
彼岸も過ぎたしね。お間違えなきよう。
それから、案内状には「雨天中止」とあるけれども、雨天の場合にも中止とはせず室内で開催!!

 




9月27日(火) パシミナ・マフラー

CC5(竹林shop五周年)の記念アイテム、パシミナのマフラー。
いっさい混じりもののない、ピュア・パシミナだ。
つとにご存知かと思うが、そのおおもとは、今年5月インド最北端チャンタン高原に出かけて出会ったパシミナ山羊から採られた原毛。チャンタン高原のパシミナはインド・カシミール随一の品質で知られている。
それをganga工房にて手紡ぎし、ウールのスペシャリスト織師マンガルがマフラーに織り上げる。
今回は五十数点、お目見えする。サイズおよび価格は以下の通り。
(みなさんのご好評を得れば継続生産ということになるが、そのときにはもうちょっと高くなるはず)

パシミナというと一般に薄手のものが知られるが、今回のマフラーはやや厚手。
高価な原毛をふんだんに使っているので、よりいっそう温かい。
(薄手が欲しい人は「ラダック/ヒマラヤ・ミニショップ」に現地で真木千秋の選んだ薄手ショールが数点あり)

原毛の色は、白とグレーベージュ(GB)。
白を藍で染めたブルーもある。

     

カゴ織り小マフラー

15 × 110 cm
白、白×BG、ブルー
横ストライプの有るものと無いものあり。
10,500円

 

 

おりかえし織り中マフラー

30 × 140 cm
白×BG、白×ブルー
24,140円
   

パシムガ・マフラー

パシミナとムガシルクの交織。
(その製作風景はこちら)
大きさは三種
20 ×140 cm 16,000円
20 ×100 cm 11,000円
18 ×110 cm 10,000円



パシミナ・マフラーは9/30と10/1にわけて店頭に登場するので、どちらの日に来店いただいてもOK。それから小マフラー10点が現在インドから日本への途上にあり店頭登場は遅れる見込みなので、10/2日以降でもチャンスあり。

 

 

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