2月4日(月) 印度糞尿譚
アーリア系の特質であるのか、インド人もジョークが好きだ。
ちょっと前の話だが、こんなのがあった。
アメリカのブッシュ大統領が訪印した。ガンディー首相とともに首都デリーを車で移動していると、街のあちこちにしゃがんでいる人々がいる。それを目にするたびに、ブッシュ大統領は、「あれは何をしているのですか」と尋ねる。そのつどガンディー首相は恥ずかしい思いをするのであった。
翌年、ガンディー首相が訪米した。ブッシュ大統領とともに首都ワシントンを車で移動していると、道端にしゃがみこんでいる人がいる。ガンディー首相は勝ち誇ったように「あれは何をしているのですか」と尋ねる。ブッシュ大統領は真っ赤になって怒り、傍らにいたSS(シークレットサービス)長官に、「あいつを引っ捕らえろ!」と命じる。しばらくして長官は汗をかきかき手ぶらで戻ってきた。「どうしたんだ?」とブッシュ大統領が尋ねると、長官のたまはく、「インド大使閣下でした」…。
最近はインド政府も家庭へのトイレ普及に努めている。
弊日誌でも先日ご紹介したアクシェイ・クマール(「パッドマン」主演)のインド映画「トイレット」(2017)も、トイレの無い伝統的バラモン家庭にトイレを作るという悲喜劇であった。
確かに、現在のように人口の増えたインドでは、衛生的にも、また社会的にも、トイレの普及は必要であろう。
ただ、昔のように、野外で用を足し、大地と循環するという営為にも、大いなる意味があるように思える。生命発生以来、数十億年にわたって我々はそうしてきたわけだから — 。排泄は食事と並んで大切な営みである。自然食を志すなら、自然泄にも意を用いるべきでは?
昨日、ごく短時間であったが、ケンジィこと臼井健二さんが当GangaMaki工房にお見えになった。臼井さんは安曇野でたしか「野糞講座」なるものを開講しておられたと思う。私もかつて甲州山奥の禅寺で一週間のリトリートに臨んだ折、一度も寺の東司を使わずに過ごし(東司が原始的な代物だったせいもあるが)、修行が大いに進んだ(!?)経験がある。仏陀も出家以来ずっとそうしてきたわけだし。
この工房を作る際にも、ぱるば的には、インドの伝統に従ってトイレを作らずにおこう…とか秘かに思ったものだ。しかしながら、まあ、外国人も多いし、さすがにそういうわけにもいかなかった。
で、キレイな近代的水洗トイレが完備されたのだが…
どういうわけか、よく詰まるのである。もちろん私は、紙を使うなどという非衛生的なことはしない。インドの伝統に従って水洗だ。ところが、日本のトイレだったら何の問題もないはずなのに、よく詰まる。
工事段階からかかる問題に遭遇したので、スタジオムンバイの建築家カルティック君に指摘すると、へぇ、そう…!?、と怪訝な表情であった。如何に予算の限られた工事とは言え、スタジオムンバイの選定した便器だから、欠陥品ということはあるまい。建築家ビジョイ・ジェイン自身も、私より遥かに大男であるにもかかわらず、当スタジオにしばしば逗留するも、そうした事態に直面している様子はない。
私が異常なのか…。これはおそらく、日印の生理的ないしは食習慣的な違いに起因すると思われる。
〈以下、スカトロ的描写になるので要注意〉
絵文字の中に、ウンチの絵がある→
見事にトグロを巻いている。
しかし、日本に居てこういうモノに出会うことは稀なのではあるまいか。「理想の便はバナナ型」とか言われているし。
一方、インドの野原では、絵文字通りのモノに出くわすことがある。(あまり詳細には観察してないが)。思うに、インド人は軟便なのではあるまいか。だから、モノが大きくても詰まらないのであろう。
軟便の理由はいろいろ考えられる。まずはスパイス。胃腸の動きを促進するのだろう。それから、野菜を良く食べる。主食のサブジ(野菜カレー)など、加熱調理した野菜がてんこ盛りだ。そして、スパイス効果で食欲も増すので、野菜摂取量が日本の比ではなくなる。それから、インディカ米は冷やして食べると繊維質が増加するという話もある。
というわけで、インドに来たらできるだけインド飯を食ったほうが良いと思う。便秘や痔の防止にもなるだろうし。
ただ、弊工房ご来訪の折、不幸にもトイレ詰まりという事態に遭遇したら、それなりの対処法はあるので、遠慮なく私に相談して欲しい。